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飛行機雲?

[142]  2008-08-29投稿
商店街が見えて来て、李遼はキヨを荷台から降ろし、わたしの鞄を手渡した。珍しくキヨは駄々もこねなかった。
「じゃあ、またな。」
「うん。ありがとう。」
素直に言えた。
「キヨもお兄ちゃんにお
礼言って。」
「お兄ちゃん、ありがと
う。バイバイ。」
キヨが元気に言うと、李遼は満面の笑顔でキヨの頭を撫でた。
「バイバイ、ここからは
お姉ちゃんを守るのは、
キヨの役目だぞ。」
「うんっ!」
走り去る李遼を見送りながら、何故か寂しくなった。もっと一緒にいたいと思った。
キヨと手をつなぎながら、キヨもいつか、李遼みたいになるんだろうかと考えた。わたしは、キヨと歌いながら帰った。

梅雨は嫌い。李遼の足が濡れるから。スリッパでも持って行こうかと思ったけど、やろうと思えば李遼が自分でやれたはず。なんだか違う気がした。少しは気温が高いから、前よりは辛くないと思うけど。
あれから、毎日、李遼は公園で待っていてくれる。学校では相変わらず無表情の鉄仮面だったけど、わたしにはそれが嬉しかった。たれ目の、李遼の笑顔を知っているのはわたしだけ。これは優越感?
わたしの体調が悪い時は、公園で休んだり、気遣ったりしてくれる。
今は雨で自転車に乗らない時が多いけど、キヨは李遼の姿を見ると嬉しそうに駆け寄っていく。
その日も夕方から雨という予報だったので、李遼は自転車を置いて来ていた。
キヨが遊びたがったので、公園に寄り道した。
キヨと李遼が追いかけ合って走り出した。わたしはベンチで二人を見ていた。キヨは、捕まって振り回され、きゃあきゃあはしゃいでいる。そのうち疲れて、砂場で遊び始めた。
李遼がわたしの側に来た。額にうっすら汗をかき、前髪が湿っている。
「キヨ、わたしより李遼
といる時の方が楽しそう
。」
「男同士だからじゃない
?遊び方が違うんだろ、
きっと。」
ポケットから小さなハンドタオルを出して差し出すと、李遼は嬉しそうに受け取り、汗を拭いた。
こんな、何でもない瞬間が好きだった。ハンドタオルを返しながら、李遼が言った。
「鈴木さ、オレといて大
丈夫か?迷惑かけてない
か?」
じっとわたしの目を見つめる。
わたしは、目を反らした。
「迷惑なんて思ってない
よ。」
李遼は、わたしの横に座った。鼓動が早くなる。

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