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奈央と出会えたから。<205>

[615]  麻呂  2008-08-31投稿

この日も何時もの様に聖人と一緒に登校したんだ。



あたし達は、たわい無い話をしながら教室へ向かった。



『‥でね、聖人、それでね――』



『おぅ。』





ガラッ―ー‐



聖人が教室の扉を開けた。



この日の教室は、何時になく重苦しい空気が漂っていた。



バンッ―ー‐



何時もの様に、自分の席に乱暴にカバンを置く聖人に、



斜め後ろの席に座っていたタツヤが突然、吐き捨てる様にこう言ったんだ。



『アツイアツイ!!真冬だというのに、おかしいなぁ。

今日はアツイねぇ。
こうやって目の前でイチャつかれるとよぉ。』



タツヤは挑発する様な、さげすんだ目付きで聖人を見ていた。



『‥んだとコラァ。』



聖人は、キッとタツヤを鋭い目付きで睨み付けた。



あたしは、聖人に歩み寄り、



また、前みたいにケンカになってはマズイと思い、



なんとか、この場を治めようとしたんだ。



『聖人。やめよう。タツヤには言わせておけばいいじゃん。』



あたしの言葉に、聖人は何の反応も無く、



ただ、タツヤを睨み付けている。



聖人は、たえていたんだ。



何とか怒りを鎮めようと、



気持ちを落ち着かせようと、たえていたんだ。



この後に続くタツヤの一言が無ければ、


それで、この場は治まっていた筈だった。



なのに――



『聖人君。今日は、どうしたの?!

元気無いなぁ?!

僕、張合い無いよ?!

昨日は、ヤリまくっちゃった?!

3発?!4発?!

それとも5発?!

体力消耗激しいから、エッチは控えめにしとかないと!!

ひゃっはっはっはっっ!!』



タツヤ――



酷い――



何でタツヤにそこまで馬鹿にされなきゃならないの?!



クラスメイト達の視線は、みんな――



聖人とあたしに集中している――

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