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RPG−5

[479]  たる  2008-08-31投稿
村はゲームの世界らしく武器を持った人がちらほら見える。レイのように鎧を着た人も少なくない。
村に入る直前でレイが言ったのだが、彼女は家出していたらしい。といっても村を出たのは朝方で、まだ太陽が沈む気配はないから、ただ朝早く出かけたみたいになったと言って笑った。謝ると、退屈していたから帰る口実ができて良かったとまた笑った。

「ただいま」
ドアを開くと、両親が駆け寄った。父親が腕を広げ、母親が厳しい顔で口を開いた。しかし娘の後ろで小さくなっている見慣れない少女を見て動きを止めた。母親は少し言葉が漏れていたが。
「この子、カルカラの高原に倒れてたんだ。どうやって来たのかも分からないって言うから連れてきた」
カナ自身がうつむいてしまうようなことをレイは堂々と言ってのけた。2人はカナをじっと見ると、レイを見てそして顔を見合わせた。
「話は中で聞きます」
母親が尖った口調で言った。

「私では確かなことは言えないけど」
レイのお母さんが言った。
食卓にはさらえられた皿が並んでいる。夕食だ。両親がレイに話をするためとりあえず私はレイの部屋にいたのだが、恥ずかしいことにそこで眠ってしまったのだ。赤い顔から今は情けなさで泣きそうな顔に変わっている。
「もしかしすると魔王の仕業かもしれないわね」
「まっ、魔王?」
「おかしな装置や魔法を使って作物や家畜の突然変異、異常気象を起こしているの。最近では人が消えたなんて話も聞くし、あなたもその1人かもしれないわ」
真剣な面持ちだが、それは違うと言える。だって私はこの世界の人間じゃないのだから。
「私達で考えてもだめね、村長に話に行きましょう」
そうきたかとカナは思った。ゲームのシナリオ通りでおかしいやら悲しいやらだ。
「今日のところはひとまず休んで、明日の朝行きましょう」
「はい」
カナが小さな声でこたえた。

「本当にありがとう。家にまで泊めてくれて」
「やめろよ。あたしも親も迷惑とも困ったとも思ってないんだから」
申し訳ないと思ったが、レイがなんでもないというように言うから安心した。
その夜はくたくたになるまでお互いのことを話した。私の体のこと、入退院を繰り返していること。レイが勇者になりたいわけ、それに家出の理由。
レイのお母さんが電気を消しに来るまでに、私達は友達になっていた。

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