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RPG−7

[280]  たる  2008-08-31投稿
「向こう島かー」
レイに追いつくと、そう言っているのが聞こえた。
「行ったことあるの?えっと、ビヨドに」
「ないない。せいぜいカルカラ高原だな。母さん、ほんと固いんだ」
そう言うレイの顔は嬉しそうだ。心はビヨドというところに飛んでしまってるに違いない。
それから町を少し案内してもらって、空が赤くなる頃に家に帰った。レイはすぐに村長の言葉を両親に伝えたが、2人とも表情を崩さないから村長ってああいうものらしい。しばらくしてレイのお母さんはレイと奥の部屋に入っていった。
「この村はどうだった?」
きりっとしたお母さんと反対に穏やかで優しげなお父さんが尋ねた。それから少し話をして、カナはレイにもした質問をした。
「異国ねえ。うん、するね確かに。別に悪い意味なんてないんだよ。何が違うかと聞かれても、やっぱり匂いとしか言えないな。はは、本当の匂いじゃなくて」
くんと鼻を動かしたのに気づいたらしい。
「昔から言われてるんだが、異国の匂いは人を惑わせ心を奪う。だから普段はおとなしい男が・・・いや、この話はやめにしようか。2人の話は長くなりそうだ。先に食べていよう」

2人の話は本当に長かった。夕食を食べ終えて入浴も済ませ、今は1人でベットの中にいる。私の話だろうか。沈んでいたところで、かすかに聞こえていた話し声がやんだ。気になってそっと部屋を出て居間に近づくと、口論が聞こえた。レイとお母さんだ。
「だめ、許さないわよ」「いつまでも子供じゃないんだ」「何言ってるの、十分子供よ」「カナに1人で行かせろっていうのかよ!」
自分の名前が出たとたん、心臓がぐにゃりと潰れた。ここにいちゃいけない。そう思った。

そっと裏口から出て村の出口を目指した。服は自分のものに着替えた。現れたときのように突然消えたと思ってくれればいいと思った。村は電灯が少なくて暗い。しかも体がいうことをきかなくなってきた。息が荒い。すると突然腕を掴まれた。足がもつれて倒れかけたのを誰かが支えた。
「大丈夫?」
この声は。へなへなと座り込むカナの頭に浮かんだのは、あの穏やかな青年だ。
「こんな時間に・・・レイの家だろ、送るよ」彼はカナを立たせて肩を抱いた。力が強い。さっきと雰囲気が違う。くらくらする頭の中で、お父さんの言葉がよみがえる。

−−異国の匂いは人を惑わせ心を奪う

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