時と空の唄3-1
「なぁ〜…ホントにこっちか?」
オーウェンを出て咎伽の森をさ迷い早三時間が経過している。
行けども行けども同じ景色の続く暗い森。
普段おちゃらけていてポジティブなラウフすらこの状態には危機を感じていた。「確かに、不安になるよなぁ…」
「そう言って引き返す人がほとんどだから、トーレの村は閉鎖的になっていったのよ。」
まるで、前にも来たことがあるかのようだ。
「…詳しいんだな。」
ランスォールの発言の後少しの沈黙。
シーラは言った。
「…昔にも…来たの。昔は今ほど閉鎖的ではなかったから。」
彼女の言葉一つ一つがランスォールに重くのしかかった。
彼女が止まった時間の間の話をするといつも胸が締め付けられるように痛む。
それは、彼女が余りにも淋しそうに、儚げに笑うから。
「…悪い。」
「謝らないで。謝られても、どうしていいかわからないから。」
気まずい空気が流れる。
それから更に一時間、気まずい空気のまま時間だけがゆっくり流れる間、誰も口を開かなかった。
「見てッ…」
シーラだ。
「これ、とっても珍しい、この森にしか咲かない花なのよ!」
そこにあったのはピピの花の群生だった。
花を見て笑うシーラは先程の笑顔とは違う温かいものだった。
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