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貴方の手

[392]  千尋千歳  2006-06-04投稿
 雨、雨、雨。辺りは雨雲が、たちこめている。  梅雨のこの時期に、ハンバーガーショツプの外で一組のカップルが立っていた。「あっの、とりあえず歩こう?」         髪を、二つにくくった女が口を開いた。      「あぁ、ちょっとまってくれ!コイツかたづける」 男の方が、二個目のチキンバーガーを片手に返事をした。二人とも、制服身につけていて。胸元には某高等学校の名が、のっていた。数分後、二人は。道端を、歩いていた。      女が、ポケットから携帯を取出しメールを送信した。「あれ、携帯がなってる」男の携帯の画面には、  「手を、つないで」   と文字が載っていた。  男が、女の方を向くと彼女は。逆方向に顔を向けていた。          男は、ゆっくりと彼女に近寄り。手を、彼女の手に当てた。彼は彼女の顔をチラリと覗き見た。まっかにそまる彼女の顔、手から伝わる震え。すべてを受けとめ彼は、彼女の手に自分の手を重ねた。       力を、こめれば。はかなく崩れそうな彼女の手。だけど離したくなくて、離せば失いそうで。ゆっくりと彼は、手に力をこめた。  すると確かに彼女の手からも力が伝わった。

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