マイナス×マイナス 3
泣きながら眠ってしまったのか、気絶してしまったのか。
いずれにせよ体は寒かった。
雨が降っていた。
若い男が傘もささずに、実穂を心配そうに見つめている。
「お姉さん、家出!?何でもいいけどウチそこのアパートだから雨宿りしていきなよ!雨がスゴいから!」
話しているうちに急速に雨足は強くなる。
実穂はぼーっとする頭を動かすこともせず、男に連れられて行った。
(私このまま誘拐されて…この人にされるがまま…なのかな……何でもいいや…。)
実穂が次に目を覚ましたのは、携帯の着信音が響いた時だった。
聞き覚えのある着信音だった。
「あ……!お母さんから…。」
実穂は母親からのメールにがく然とし、また泣きそうになった。
¨なかなか帰って来ないけどやっと就職先見つかったの?¨
¨返事下さい。お父さんが就職先見つかったのかって怒ってるから。¨
自分の心配より就職先の心配しかしなくなってしまった両親。
こんな知らない男の部屋なのに自宅より落ち着いてしまう自分が、実穂は嫌になった。
やかんの湯が沸騰した音が響き、すぐ止まった。
先ほどの若い男はキッチンにいるのだろう。
なかなか広いアパートだった。
バッグの中身も無事であり、何より自分が無事だったので、実穂は礼を言いたくなった。
いずれにせよ体は寒かった。
雨が降っていた。
若い男が傘もささずに、実穂を心配そうに見つめている。
「お姉さん、家出!?何でもいいけどウチそこのアパートだから雨宿りしていきなよ!雨がスゴいから!」
話しているうちに急速に雨足は強くなる。
実穂はぼーっとする頭を動かすこともせず、男に連れられて行った。
(私このまま誘拐されて…この人にされるがまま…なのかな……何でもいいや…。)
実穂が次に目を覚ましたのは、携帯の着信音が響いた時だった。
聞き覚えのある着信音だった。
「あ……!お母さんから…。」
実穂は母親からのメールにがく然とし、また泣きそうになった。
¨なかなか帰って来ないけどやっと就職先見つかったの?¨
¨返事下さい。お父さんが就職先見つかったのかって怒ってるから。¨
自分の心配より就職先の心配しかしなくなってしまった両親。
こんな知らない男の部屋なのに自宅より落ち着いてしまう自分が、実穂は嫌になった。
やかんの湯が沸騰した音が響き、すぐ止まった。
先ほどの若い男はキッチンにいるのだろう。
なかなか広いアパートだった。
バッグの中身も無事であり、何より自分が無事だったので、実穂は礼を言いたくなった。
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