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RPG−9

[285]  たる  2008-09-02投稿
「分かったことがあるの」
4日前、あの夜の日にそうレイに切り出した。
「私が昔から病弱で体が弱くてって話したでしょ。それがここに来てからは今までにない普通の体になってる。でもさっきは違ったの。目眩はするし息切れはひどいし足は動かないし、昔の体に戻っちゃってたのね」
レイはひざをかかえておとなしく聞いている。もしかしすると上の空というやつかもしれないが、気にせず続けることにする。
「それが、レイが近くに来たとたんぱっと力が出たの。これってきっとレイには何かあるってことだと思うの」
それと、とカナは続ける。
「クラムさんのことだけど、レイのお父さんが言ってた通り、私にある異国の匂いっていうのがそうさせたのよ。だから・・・」
「やっぱり殴っとけば良かった」
「聞いてたっ!?」
ゆらりと立ち上がったレイを座らせる。
「昼間、覚えてる?村長さんに会いに行く途中でレイが私の髪持ったでしょ?あれもきっと匂いよ。あの時のレイとクラムさん同じ目だった」
「・・・あいつ下心があったからなかなか元に戻らなかったのかな」
レイが壁にもたれて言った。クラムさんに厳しいなあと思った。もしかしすると過去に何かあったのかもしれない。どきりと胸が騒いだ。


「このまま行くと隣町だ。魔物がしつこくなければ暗くなる前に着くよ」
カルカラ高原のてっぺんを過ぎるとレイが指をさした。サパーを1度見たが、今度はやり過ごした。目がないため、音を出さなければ気づかれないらしい。
「そろそろかぶろうか」
レイが言ったのは丸いシルエットの深くかぶる帽子だ。女旅だと知られない方がいいからだ。体全体を覆うマントもそのためだ。
まだ山にすら入ってないのに。カナがくすりと笑った。ベリーショートのカナは一見すると男の子のようで、本当は細工する必要もないのだ。それをこんな風に言うのはカナを心配してのこと。心配性なのはしっかり母親から受け継いでいるようだ。くすくすと笑い声をもらすのをレイが尋ねたので答えると、一瞬レイは目を丸くして、そしてずんずんと足を速めた。それが彼女の照れ隠しらしいと分かるとますます面白かった。

「思ってたより暗いのね」
「あたしは想像通りだな。森って感じ」
嬉しそうに言って、足取り軽く森へ進むレイの後ろにカナも進んだ。ぴたりとくっつくとレイに笑われた。
その様子を見つめる2つの瞳が、闇の中に赤く輝いていた。

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