携帯小説!(PC版)

薔薇の鎖?

[633]  龍王  2006-06-05投稿

奇妙な出来事に
頭はついていかず
抹消を繰り返した…

でもそれさえも
追い付かない
恐怖




「ようこそ、いらっしゃいませ」
年より若く見えるメイド服を着た女が、スカートの裾をつまみ、胸に手を置き、片足を後ろに下げると深々と頭を下げた。
来訪した客の男は、雨に濡れたのかビショビショだった。
「ここは…?」
男は何故自分がここにいるのか分からなかった。メイドは混乱している男に微笑む。
「あなたはここがどこか御分かりですよ。さぁあの扉をおくぐり下さい」
「…とび…ら?」
男はメイドの背後の大きな扉を見上げると、吸い込まれるように扉に歩み寄る。
メイドは礼をしたまま男が扉をくぐるのを見送った。
「またの御来店御待ち申し上げます」
メイドがそう言うと扉はギギギと音をたて、自動的に閉まった。
「…?こ…こは…」
扉が閉められ、中に入った男の目の前には螺旋階段が地の底まで続いていた。
男は手摺から身を乗り出し、続く階段の底を見ようとした。
「……薔…薇…?」
遥か下には蕀と真っ赤な薔薇が見えた。
「…少女?」
蕀と薔薇の上に白い布が被さり、その上には少女が眠っていた。
男はとりあえず階段を下った。
螺旋の階段を何回か周りながら下りると、地下の平地についた。
「……綺麗な…少女だな」
薔薇に囲まれ眠る少女に、しばらく見とれていた。
フッと男は思った。
「……死んでる…のか?」
「いいえ、死んでいません。生きてもいませんが…」
「Σ!あなたはさっきの…」
背後から声が聞え、振り返るとさっき会話したメイドがいた。
「いいえ、私はこの空間のメイドで、入り口で出迎えをするメイドとは別物です…」
同じ声、同じ顔のメイドはそう言った。
「……こ…ここは?ιなんですか?あの子は…」
「あの方はこの館の主で私達の主人です」
「死んでるのに?」
「関係ありませんから…」
メイドはそう言い、少女の傍近くまで近寄る。
「あなたも…さあ…」
メイドに呼ばれ、男も少女に近付く。
「──……俺は…この子を知って…いる?」
「……そうです」
「何故…?初めて会ったのに…そう…思ってしまう…?」
「だってこの方は〈あなた〉なのですから…」
「えっ…」
「御帰りなさいませ、御主人様…」

そう言われ背筋が凍った…

感想

  • 1469: (>_<) [2011-01-16]

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