マイナス×マイナス 9
ベランダに立ち夜空を見上げながら、二人は意味もなく麦茶で乾杯した。
こんなに笑ってこんなに泣いたのは何年振りか、実穂は幸せを噛みしめていた。
「なんだか初対面とは思えないよ。やっぱりダンス見てくれてた時に無意識にヨージを見てたのかな。」
「俺はずっと憧れてました。実穂さんたちに。その時の仲間とはほとんどバラバラになっちゃって…。」
ここにも別れがあった。
実穂はみんながずっと一緒に居られない事実が悲しくなった。
ヨージを撫でて、まるで自分に言うように言葉を発した。
「みんな、元気だよ。きっと。」
ヨージの瞳が少し潤んだ。
高校生が友人との別れで泣くなんて…。
正直、実穂は偏見を持っていたのかもしれない。
「……悲しい?」
何も言わずヨージは実穂に首をもたげた。
泣いていた。
声を殺して泣いていた。
実穂は言葉も出さないヨージを抱き寄せることしか出来なかった。
「…。」
「…実穂。さ…」
「実穂で良いよ。……なぁに?」
「……格好悪いとこ見せちゃって…。」
「そんなことない。」
「……良い奴らだった…。」
「また会えるよ、必ず。」
こんなに笑ってこんなに泣いたのは何年振りか、実穂は幸せを噛みしめていた。
「なんだか初対面とは思えないよ。やっぱりダンス見てくれてた時に無意識にヨージを見てたのかな。」
「俺はずっと憧れてました。実穂さんたちに。その時の仲間とはほとんどバラバラになっちゃって…。」
ここにも別れがあった。
実穂はみんながずっと一緒に居られない事実が悲しくなった。
ヨージを撫でて、まるで自分に言うように言葉を発した。
「みんな、元気だよ。きっと。」
ヨージの瞳が少し潤んだ。
高校生が友人との別れで泣くなんて…。
正直、実穂は偏見を持っていたのかもしれない。
「……悲しい?」
何も言わずヨージは実穂に首をもたげた。
泣いていた。
声を殺して泣いていた。
実穂は言葉も出さないヨージを抱き寄せることしか出来なかった。
「…。」
「…実穂。さ…」
「実穂で良いよ。……なぁに?」
「……格好悪いとこ見せちゃって…。」
「そんなことない。」
「……良い奴らだった…。」
「また会えるよ、必ず。」
感想
感想はありません。