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たかが1勝の喜び 第6話 緊張のち喜び

[549]  こうちゃん  2008-09-04投稿
女子レスラーの入門によって、道場に花が咲いたように明るくなった。
しかし、言っても格闘技道場、笑ってばかりはいられない。
常に緊迫した雰囲気で馬鹿ばなし等出来る雰囲気では、残念ながらない。
増して、照れ屋の僕には尚更だった。

いつものように、練習はコーチの厳しい声で熱を帯びていた。


〜そんなある日〜
僕は、同レベルの練習生3、4人とスパーリングを行い、もうハァーハァー。
『はあー。ちょっと休もうか』

と、思いきや、コーチが一喝。

『休むのはまだ早い!』
『女子とスパやれ!』相手は、女子の中でも一番強い坂井(仮名)選手
『言っとくがなー、
相手は女子だぞ』

『負けたら恥と思え』
『坂井!遠慮は、いらんぞ』
『ぶっ飛ばしてやれ!』

コーチが勝手に話を進める。

僕は、
『どうしょう』
『負けたら恥やなー』
〜緊張の中、スパ開始〜
僕は、男子と闘うより、必死だった。
余裕等、全くない。

そして、何とか僕優勢で迎えた、残り1分
『駄目だー。スタミナが切れる。』

『早く終われ』
その時、素早いタックルが、僕を襲う。
僕は吹っ飛んで倒された。

『こら!女子にポイント取られとるやないか』

そのまま終了。

しかし、僕達は、互いの戦いをたたえ合って心底がっちり握手した。
『ありがとうございました。』

女子との距離が少し縮まったような気がした。
『緊張のち嬉しい。』だった。

おかあちゃんに報告や。
続く。

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