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友達

[1458]  匿い屋  2006-06-05投稿
私はいつも一人だった。
学校では皆から無視されるし、家族は母だけなのに夜遅くしか帰ってこなかったから。

その日だって、いつもと同じだった。
苛められるのに耐えきれなくて泣きながら家まで走って帰った。
漏れる嗚咽を必死に抑えようとしても、止まらなかった。
悔しくて悲しくて仕方がなかった。
ソファーに突っ伏して泣いていた。
「バチッ」
何かが弾けたような音がした。
「…何だろう」
鼻を啜りながら私は音がした方を見に行った。
トイレの方だ。
「バチッ…バチッ」
また、音がした。
「何なんだろう…」
こんな音聞いたことがない。
ゆっくりとトイレに近付いて、思い切りドアを開けた。
特に変わったものは見当たらなかった。
「…気のせい?」
ハッキリ聞こえた筈何だけど…。
いつまで経ってももう音がしないので、気のせいだったと思うことにした。
ドアを閉めてトイレから離れた。
刹那。
笑い声が聞こえた。
微笑み掛けるような拙い声で。
驚いて反射的に振り返ってみる。
さっき閉めたはずのトイレのドアが開いていて、その下方に指がドアを掴むように掛かっていた。
「ひっ…」
変な声を出して尻餅をついた。
徐々にドアが開いていき、その顔が見えた。
女の子だった。
微笑を浮かべ、時折痙攣していた。
私は尻餅をついた儘、後退っていた。
その状態で女の子は動かなくなった。
私も何故か、動くのをやめてその女の子を見詰めていた。
見詰め合った儘どの位経ったのだろうか。
「只今〜」
母の声がした。
途端に女の子は、微笑みながらドアから手を離して中に消えて行った。
「あれ?まだ起きてたの?」
母が能天気な言葉を吐き捨てて、その場を離れた。
私はその後、ふらつく頭を必死に押さえながらすぐに寝に行った。

相変わらず、私は学校で苛められている。
でも一つ変わった事がある。
友達が出来たのだ。
名前も知らない、友達が。

感想

  • 1388: こわ。 [2011-01-16]
  • 1474: ぃゃ、恐いから(゜ε゜;) [2011-01-16]
  • 1509: こわないやん [2011-01-16]
  • 1513: 個人的にはコワいと思うけど… [2011-01-16]
  • 1597: 幽霊が友達って、なんかカッコいいですねV(^-^)V [2011-01-16]
  • 1686: むしろ寂しさが見せた幻に一票 [2011-01-16]

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