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RPG−10

[252]  たる  2008-09-05投稿
昼間だというのに森の中は暗い。時々日がさしても幾重にも重なる木々で遮られて、2人に届くころには弱々しい光になっている。
「ねえ、もしかしてここに魔物って出る?」
「ああ、そうだな」
恐る恐る尋ねると、今気づいたという調子で返された。
「高原よりも出やすいはずなんだけど」
「や、やっぱり」
カナが顔色を悪くしたが、それからしばらく歩いても何が出るということもない。持ってきたおにぎりを食べながら進み、今は森の出口まであと半分というところだ。日が暮れる前には隣町に着くだろう。しかし突然、静かだった森にざざざざと騒々しさが広がり森を揺らした。2人は立ち止まった。
「カナ、あたしから離れるなよ。無理もするな」
レイが耳打ちした。レイは静かに剣を抜き、カナが伸縮自在の棒を取り出した。分かりやすく言えば如意棒だ。護身用にと持ったがなかなかゲームのように使いこなせないのが現実だ。ひゅるりと空気が揺れて、如意棒がカナの肩ほどまで伸びた。この如意棒ではそれが最長だ。
「来る」
レイが言った次の瞬間、辺りの木々から全身毛に覆われた子供くらいの身長の魔物が飛び出した。カナの胸元ほどの大きさだ。フーフーと甲高く息を吐き、6匹が2人を囲んでいる。カナがごくりとつばをのみこんだ。それを待っていたかのように魔物が一斉に飛び掛かってきた。レイは同時に動いていた。
「ひゃあああっ」
ほとんどがレイに襲い掛かったが、1匹だけカナに向かった。頑張るぞと思っていたが、実際やるとなると恐ろしい。思わず目をつぶってしまったが、その時突き出した如意棒で魔物は頭をぶつけたらしかった。倒れはしないが真っ直ぐに立てないようだ。ふらふらと揺れている。
「えいっ」
避けられない魔物の頭を軽く叩くと、ぽしゅんと煙になって消えた。倒したというよりスイッチを押して消したというような感覚だった。息をしずめてレイはと見れば、最後の一振りで2匹一緒に倒したところだった。ふうと小さな息を吐き、余裕の表情でカナを振り返った。
「奴らがあたしに向かってきて良かった。でもカナ」
レイが少し怖い顔をした。
「目、つぶってたろ」
どうやったのか、戦いの最中ながらレイはしっかりカナをチェックしていたらしい。同い年なのに差は大きい。
「あいつが馬鹿だから良かったけど、あんな偶然はもうないよ」
返事の代わりにカナは小さくうなった。

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