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RPG−11

[309]  たる  2008-09-05投稿
剣を収めると同時に2匹の魔物が煙になった。レイはかがんで何かを拾い上げた。金貨と小さな袋、それにあの魔物のものと思われる毛皮のグローブ。さすがゲームに忠実だ。
「ごめんなさい・・・次は頑張ります」
小さくなったカナにレイが優しい笑みを作った。
「無事ならいいんだ。これからはあたしがカナを守るよ。それにもう隣町は近い。魔物は出ないよ」
「それは甘いよ、お嬢ちゃん」
レイがカナを後ろにかばう形でさっと身構えた。もう剣を抜いている。
現れたのは大きな体の男達だ。にやにやと笑っている。盗賊だ。
「魔物は出ないがもっと怖いのが出るよ」
話しているのは2人の真ん前にいるリーダーらしい男だ。見えるだけで10人はいるが、木の影にもっといるようだ。カナは帽子を深くかぶり直した。確かに魔物よりも怖い気がする。
「簡単に魔物を倒したな。そんな格好してるが、お前達、女だろ。やるじゃないか」
「ありがたく言葉は貰っとくよ。だけど俺達は女じゃない。それに急いでるんだ」
レイは緊張しているようだったが堂々と言った。リーダーの男が一層にやにやした。
「男ねえ」
その声で気づいたが、盗賊の1人がカナのすぐ側にいた。その男がカナの肩に触れるか触れないかの瞬間に、レイが剣を振り下ろした。男は飛びのいたがマントを浅く切られた。
「おお」
怒るかと思ったが、リーダーの男は感心したように声を上げた。それに心なしか嬉しそうだ。切られた本人も仲間と笑っている。
「威勢のいい女だな。気に入ったぜ」
使い古されたセリフだが、カナははっと顔を上げた。まさかと胸が荒く打つ。
「俺の女になれ」
これだから単細胞な男は!危うく叫びそうになるのをぐっとこらえた。レイの表情はあまり変わらないが、眉を寄せて顔をしかめている。
「どうだ」
にやつく顔を変えず言ったその言葉でカナの何かが切れた。何がどうだなのよ!また口を開こうとする男の言葉をカナが遮った。
「だめに決まってるじゃない!会ってすぐなんてこと言うの!考えられない、失礼よ!ありえない!」
「カナっ!?」
肩で息をするレイが目を丸くしたが、男はますます笑顔を広げた。
「行こっ」
さっきとは全く逆に、カナがレイの腕を掴んで先頭を歩いた。盗賊たちの横を通る時は少し緊張したが、何かされることも、追ってくることもなかった。鼻息も荒く歩くカナにレイはされるまま、そしてそのまま隣町に到着した。

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