頭脳と頭脳(15)
由城彩香
お前は、花火が好きか?私は、とても好きだ。
だから、昼間にも花火が見たくてね。
今日の14時に花火をすることにする。
お前にも見てもらいたい。
たがらこの手紙を出した。
この手紙はチケットだ。
意味を理解して見にこい。
もしくは止めてみせろ。
できるのならな。
私の仲間は黄竜のもと、つねに逆鱗に触れられるようにしてある。
もし彼が逆鱗に触れれば、黄竜の目に花火が映る。
目からの景色は美しいから、楽しみにしてくれたまえ。
しかし、花火の代償として黄竜が怒り狂い、たくさんの人が死ぬだろう。
だが、気にするな。
辛いのは黄龍だけではないのだから。
なぜなら、花火も黄竜の目が怖くて、俯せになり体を丸めているのだから。
お前と同じように。
ブレイン
パソコンで打たれただろう手紙を読み終えた。
なるほどな。
これで場所は絞られた。
手紙を哲史に渡す。
哲史は自分の質問を無視されたことに、少し腹をたてながら、手紙を読んでいる。
ふと、彩香に話かけられた。
「内容の理解はできた?」
「まあな。もうすでに起きてる事件についての手紙だぜ。その事件に照らし合わせて考えればいいだろう。」
ふ〜ん。とつまらなそうな様子。
つまらない回答でわるかったな。
「じゃあさ、なぜあたしがプラザ万葉にいるとわかったのか、あたしも知りたいんだけど。」
今度は、そちらが試す番か。
「まさか、プラザ万葉を爆破したのがブレインだと思ったからとりあえず来た、とか言わないわよね。」
「当然違うよ。じゃあ逆に質問だ。」
いいわよ。と彩香が余裕の顔で言う。
質問を質問で返したのに怒らないのは、この質問が自分の質問を解くことに関係があるとわかっているからだろう。
やはりこいつはつかえる。
「なぜ、ブレインがプラザ万葉を爆破したと思う?」
「人がたくさん集まっていたからでしょう。」
彩香はニヤニヤしながら答える。
意地の悪いやつだな。
人のこと言えんが。
「それもあるだろう。花火が目立つことのないようにというのもある。しかし、本来の目的は―――」
「兄貴! この手紙の意味わかりやしたよ!」
哲史が急に大声をあげて、近付いてくる。
「KYね。」なんて、彩香は呟きながら舌打ちをした。
少し古くないか。
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