カオス!2
「ハナハナハナっ」
チカが飛び込むようにやって来た。だいたい悪い噂を持ってくるのはこの子だ。
「ソータ君が1年生に告られてるって!」
告るという言葉にちょっとびくりとした。ソウタは何もなかったように接してくれてんのに。恥ずかしい。
あれから、そのままの態度を変えないのをソウタの優しさだと思うようなった。あそこまで徹底しなくてもって思うけど、前みたいに笑い合えるのはやっぱり嬉しい。
「また覗き見するー。ソウタが知ったら怒るよ」
「余裕かましすぎっ!今度の子は今までと違うの!1年生の河内マナだよ!」
「河内マナ!?」
入学してからしばらく騒がれてた女の子。私もチカと一緒に見に行ったから間違いない。かなり可愛い子だ。2学期になってもまだ告ったふったと言ってるから性格もいいのかもしれない。
「でしょーっ、ハナも気になっちゃうでしょーっ」
「でも行かないよー。後で教えてもらえばいいし」
「もーっ。そんなこと言ってたらそのうちほんとにソータ君とられちゃうからね!」
来た時と同じように教室から飛び出して行くチカを見送って、控えめに刺さる視線達を避けて廊下に出た。ったく、もっとナチュラルに聞き耳立ててよね。
ソウタとは中学から同じ学校で、同じクラスになった3年から話すようになった。その頃にはもうソウタは良くも悪くも王子様的存在で、誰にでも優しくていつもニコニコして、女子だけじゃなく男子からも人気だった。もちろんモテたわけだけど、中学に入っても高校生になっても彼女を作らない。高校では3年間同じ学科だからソウタとはずっと一緒のクラスなんだけど、たまたまよく話す女子が私だから、周りは本命が私だと言う。それにのせられて今こうなってんだけどね。
ブルっとスカートのポケットが震えた。先生に見つからないようにトイレの洗面所に入って、ストラップのない真っ白なケータイを取り出す。
「ソウタ」
思わず呟いたら、個室から出てきた女の子がじろっと私を見た。あーもう、ほっといてよ。みんなの王子様は少なくとも私に1人占めされることはないんだから。
【あいつらまた覗いてやがった!人が告白してんのに失礼だよな!!!】
ビックリマークを多用したメールはソウタの性格を表してる。いつだって正義感を持っててそれを隠さない。もう1つ分かることは、あの河内マナをふったということだ。
チカが飛び込むようにやって来た。だいたい悪い噂を持ってくるのはこの子だ。
「ソータ君が1年生に告られてるって!」
告るという言葉にちょっとびくりとした。ソウタは何もなかったように接してくれてんのに。恥ずかしい。
あれから、そのままの態度を変えないのをソウタの優しさだと思うようなった。あそこまで徹底しなくてもって思うけど、前みたいに笑い合えるのはやっぱり嬉しい。
「また覗き見するー。ソウタが知ったら怒るよ」
「余裕かましすぎっ!今度の子は今までと違うの!1年生の河内マナだよ!」
「河内マナ!?」
入学してからしばらく騒がれてた女の子。私もチカと一緒に見に行ったから間違いない。かなり可愛い子だ。2学期になってもまだ告ったふったと言ってるから性格もいいのかもしれない。
「でしょーっ、ハナも気になっちゃうでしょーっ」
「でも行かないよー。後で教えてもらえばいいし」
「もーっ。そんなこと言ってたらそのうちほんとにソータ君とられちゃうからね!」
来た時と同じように教室から飛び出して行くチカを見送って、控えめに刺さる視線達を避けて廊下に出た。ったく、もっとナチュラルに聞き耳立ててよね。
ソウタとは中学から同じ学校で、同じクラスになった3年から話すようになった。その頃にはもうソウタは良くも悪くも王子様的存在で、誰にでも優しくていつもニコニコして、女子だけじゃなく男子からも人気だった。もちろんモテたわけだけど、中学に入っても高校生になっても彼女を作らない。高校では3年間同じ学科だからソウタとはずっと一緒のクラスなんだけど、たまたまよく話す女子が私だから、周りは本命が私だと言う。それにのせられて今こうなってんだけどね。
ブルっとスカートのポケットが震えた。先生に見つからないようにトイレの洗面所に入って、ストラップのない真っ白なケータイを取り出す。
「ソウタ」
思わず呟いたら、個室から出てきた女の子がじろっと私を見た。あーもう、ほっといてよ。みんなの王子様は少なくとも私に1人占めされることはないんだから。
【あいつらまた覗いてやがった!人が告白してんのに失礼だよな!!!】
ビックリマークを多用したメールはソウタの性格を表してる。いつだって正義感を持っててそれを隠さない。もう1つ分かることは、あの河内マナをふったということだ。
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