奈央と出会えたから。<213>
* * * * * *
教室から出て行った渋川は、
どうやら保健室に、タツヤの様子を見に行った様だ。
『ねぇねぇ。タツヤだけどさ――』
さっき渋川に言われ、
保健室までタツヤに付き添ったサチヨが、
ちょうど教室へ戻って来た。
サチヨの話しぶりでは、
タツヤのケガは、
見た目の出血の多さ程、大した事は無いと分かった。
よかった。
それを聞いて、あたしは安心した。
だって、もしタツヤの鼻が折れてたりなんかしたら――
聖人の処分だって、
それ相当なモノだと思うし――
『ねぇねぇ!!
みんな知ってる?!
渋川が最近、なんで様子がオカシイのか。』
サチヨは、早く話したくてウズウズしている様で、
目をキラキラ輝かせていた。
『渋川ったら、“教頭”になりたいからって、上のヤツらに媚びを売る為に、“熱血教師”を演じてるみたいよ。』
渋川の前では、イイコぶってるクセに――
陰では、簡単に渋川のコトを裏切ったりして――
本当は心の中でバカにしてるんだね?!
得意気に話そうとするサチヨの姿を、
聖人は少しあきれ顔で見ていた。
『サチヨ。さっき渋川にチクッたのはオマエだろ?!』
聖人の言葉に、
サチヨは一瞬、サーッと顔色が変わったが、
直ぐに、とっさに考えた言い訳としては上出来なセリフを吐いた。
『あら。あたしは、聖人とタツヤのどちらの味方もした訳じゃないわ。
ただ、2人の仲裁役には、やはり大人の力が必要かと思っただけよ。
ケンカをして、どちらが怪我をしてもおかしくない状況で、
あたしの判断は的確だったと思いますけど?!』
サチヨったら。
やっぱ、こういうトキの逃げは上手いんだから。
『サチヨ。オマエ、渋川みてぇな腐った大人になるなよ。
オマエの将来、目に見えてるぜ。』
聖人は、サチヨにそれだけ言うと、
それ以上は何も言わなかった。
教室から出て行った渋川は、
どうやら保健室に、タツヤの様子を見に行った様だ。
『ねぇねぇ。タツヤだけどさ――』
さっき渋川に言われ、
保健室までタツヤに付き添ったサチヨが、
ちょうど教室へ戻って来た。
サチヨの話しぶりでは、
タツヤのケガは、
見た目の出血の多さ程、大した事は無いと分かった。
よかった。
それを聞いて、あたしは安心した。
だって、もしタツヤの鼻が折れてたりなんかしたら――
聖人の処分だって、
それ相当なモノだと思うし――
『ねぇねぇ!!
みんな知ってる?!
渋川が最近、なんで様子がオカシイのか。』
サチヨは、早く話したくてウズウズしている様で、
目をキラキラ輝かせていた。
『渋川ったら、“教頭”になりたいからって、上のヤツらに媚びを売る為に、“熱血教師”を演じてるみたいよ。』
渋川の前では、イイコぶってるクセに――
陰では、簡単に渋川のコトを裏切ったりして――
本当は心の中でバカにしてるんだね?!
得意気に話そうとするサチヨの姿を、
聖人は少しあきれ顔で見ていた。
『サチヨ。さっき渋川にチクッたのはオマエだろ?!』
聖人の言葉に、
サチヨは一瞬、サーッと顔色が変わったが、
直ぐに、とっさに考えた言い訳としては上出来なセリフを吐いた。
『あら。あたしは、聖人とタツヤのどちらの味方もした訳じゃないわ。
ただ、2人の仲裁役には、やはり大人の力が必要かと思っただけよ。
ケンカをして、どちらが怪我をしてもおかしくない状況で、
あたしの判断は的確だったと思いますけど?!』
サチヨったら。
やっぱ、こういうトキの逃げは上手いんだから。
『サチヨ。オマエ、渋川みてぇな腐った大人になるなよ。
オマエの将来、目に見えてるぜ。』
聖人は、サチヨにそれだけ言うと、
それ以上は何も言わなかった。
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