時と空の唄4-3
「盾は…洞窟の奥、聖域の中で守られてる。俺たちも近づけない。」
突然、イツキが呟くように説明した。
そういう時の為にも、ランスォールがいるのだ。
聖域に入ることを許される力を持つ者が。
「かわいくねぇガキ。」
ランスォールがイツキや雪に聞こえないよう小声で呟いた。
「お前もあれ位の年ん時はあんなんだったぞ。」
ラウフが小声で返す。
先頭を歩くイツキという少年は今年14になる。
だが14とは思えない大人びた雰囲気はランスォールの目には『生意気なガキ』としか写らない。
「でも雪ちゃんと話すときは年相応って感じよ?」
シーラも声を潜めて言った。なんだか楽しそうだ。
五人の足が止まった。
目の前に盾があるのではない。
目の前にいるのは大量の魔物。どれもわずかに人の形に似ている。
数に対向するにはこちらも数で対処するか上級魔法で一気にカタをつけるのがベストなのだがこの狭い空間では両方ともできそうにない。
「…来るか」
「ええ。来ますね。」
ランスォールは槍を構えた。
「いちにさんで行くぜ…。いち、にぃ…さんッ」
弾けたように飛び出した。
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