あぶらぜみ?
間もなく深夜1時です―――\r
ラジオから流れる声だけが静かに部屋に響いている。
「とりあえず、お前は誰なんだ??」
俺は突如現れた少女に聞いてみる。
真っ白な服に茶色い髪の毛。髪の長さは肩よりちょっと長いくらいだ。
ぱっと見だと中学生くらい。それもかなり可愛いほうだ。
「だから、アブラゼミですって。」
……言っていることは意味不明だが。
「いや…そんなハッキリ言われると困るんですけど…。じゃあ質問変えるよ、どっから来たんだ??」
「あなたが連れてきたんじゃないですか。」
言っておくが俺は、見知らぬ女を部屋に連れ込んだりしない。
ふと植木鉢に目をやると、蝉の抜け殻が目に入った。
………ん??
"抜け殻"??
「もしかして……。今日拾った蝉の幼虫!?」
彼女はキョトンとしながらも返事をした。
「え、そうですよ??」
そうでしたか………。
じゃあ第二の疑問だ。
「なんで蝉の姿じゃねえの??」
冷静に聞いているようだけど、全っ然冷静じゃないからね俺。
彼女は少し戸惑ったように話し始めた。
「あの……話せば長くなるんですが……」
⇒つづく
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