最低な気持ち?
豪華な豪邸。
一般住宅で一際目立つ豪邸に鞠花が入って行く。
「──……椿…椿いるの?」
広い玄関から椿を呼ぶと、二階から物音が聞え、音が聞こえた二階に上がる。
「椿…」
開いていたドアから中を見ると、椿がバルコニーに座り込んでいた。カーテンが風に揺られている。
「…椿……連絡とれなくなったから来たの…どうかしたの?」
「……」
無言で顔をあげない椿に、何かあったのかと鞠花があんじる。
「…つば…」
「……鞠…俺…もう…」
椿は震えている。
鞠花は目に見える程、不安定な様子の、椿をソッと抱き締め頭をなでた。
人の暖かさにホッと安堵した椿は冷静さを少し取り戻す。
「椿…」
「鞠花…俺……俺もうすぐ…」
椿はガタガタ震え、鞠花にしがみ付く。
身を震わせ、涙を流す椿に鞠花は戸惑う。
「私はここにいるわ。傍にいる…椿」
椿の涙をぬぐいながら鞠花は優しく微笑する。
椿は目の前で涙をぬぐう鞠花の腕を掴むと、グイッと引き寄せた。
「ンッ///」
椿は無理矢理鞠花に口付けを交すと、鞠花をギュと強く抱き締めた。
「椿…///」
「俺…もうすぐ死ぬらしい…」
「えっ…」
椿の言葉に鞠花が身を凍らせる。
椿は止める事の出来ない涙を流し続け、死の恐怖に囚われながら鞠花を抱き締める。
「嘘…でしょ…?」
「ッ…」
「嘘だって言って!!椿!!ねぇ!椿…」
椿は鞠花を放すと、真っ直ぐ鞠花を見つめた。
真っ直ぐ…
椿の瞳を見た鞠花は全てを理解した。
「……い…や……嫌!!椿!私を一人にしないで…嫌…嫌ァァァ──────!!!」
〈私〉を分かるのは椿だけ…
〈椿〉を分かるのは私だけ…
私達は心の双子
私達は似ている…
私と椿は永遠にずっと傍に…
そう
願っていたのに…
「…えっ…」
「蓮華……私妊娠してるの。…だから…あなたとヨリを戻したの。…私を裏切ったら…許さないから!この子と私を裏切ったら殺すわ!!」
蓮華と鞠花は
結ばれる運は無かった…
でも
お互い愛し合っているのに…
結ばれないなんて…
皮肉…
蓮華と菫
鞠花と椿
四人はより
暗い深みにハマって
二度と
光を見れない
感想
- 1442: 凄い切ない!!早く続きが読みたいです! [2011-01-16]
- 1635: (>_<) [2011-01-16]
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