奈央と出会えたから。<223>
2月に入って――
明日はバレンタイン♪
そして――
此処はあたしの家。
『奈央ちゃん。センター用のスィートチョコのテンパリングは出来た?!』
『はい。出来ましたよぉ。ミズホさん。』
そう――
あたしはミズホさんと2人で、バレンタインチョコを製作中。
2種類のトリュフを作るコトにしたんだ。
一つは普通のトリュフ。
もう一つはイチゴのトリュフ。
今、あたしは普通のトリュフのセンター用になるスィートチョコを、
ミズホさんは、イチゴのトリュフのセンター用になるイチゴチョコを、
それぞれテンパリングしている。
『じゃあ、温めた生クリーム入れるよ?!いい?!』
『はいっっ!!オッケーですっっ!!』
ゴムベラで手早くかき混ぜて――
『奈央ちゃん。手つきいいわね!!
じゃあ、あたしがオレンジキュラソーを‥‥‥。』
ミズホさんが計量スプーンで、オレンジキュラソーを量って入れる。
『センター用のチョコは、冷蔵庫で冷やしておいて、次はコーティング用のチョコをテンパリングしようか。』
『はい。』
ボールにお湯を入れて、ゆっくりとチョコを溶かしていく。
『奈央ちゃん。このチョコは、パティシエ御用達のクーベルチュールチョコだから、そのまま食べても美味しいのよ。』
『はい。さっき、つまんで食べちゃいました。』
コーティング用のチョコも、勿論2種類。
ミズホさんは、イチゴのチョコ、
あたしはスィートチョコをそれぞれテンパリング。
コーティング用チョコをテンパリングしたら、
後は程好く固まった、センター用のチョコを手で丸めて、コーティングするだけ。
北海道の冬って凄く寒いから、チョコを冷蔵庫に入れなくても、ちょっと涼しい場所に置いておくだけでも固まるんだ。
だから、チョコを作るには、凄く恵まれた環境なんだ。
センター用になるチョコを手で丸める作業をしながら、
あたしは、ミズホさんとサトル君が、受験戦争真っ只中だと言うコトを思い出した。
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