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優しい巨人のうた

[902]  hiro  2008-09-21投稿
これは、誰かが拾った手紙……。

《小さな人間へ。
みんな、信じてくれないかも知れないけど、
僕は、背伸びをすると、雲の上まで手が届くんだ。
僕の姿は、みんなに見えないかも知れないけど、
僕は、地球の上に、独りぼっちで生きてるんだ。
だから、小さなみんなを見て、いつも元気をもらうんだ。
だけど時々、みんなに悪戯をしちゃう。僕に気付いてもらいたくて。
みんなのよく知っている、
『地震』は、僕が飛び跳ねて起こるんだ。
たまに、くしゃみで揺れちゃうこともあるけど。
『台風』は、僕が口笛を吹いて起こるんだ。
僕は、息が荒いから。
『雨』は、僕が泣いて、こぼれた涙なんだ。
僕は、泣き虫だから。
『雷』は、僕が花火をしているんだ。
ついつい楽しくてさ。あのゴロゴロした音も好きなんだ。
『曇り』の時は、空に暗い雲が浮かんでるでしょ?
あれは、僕がたばこを吸っているんだ。僕はもう大人なんだ。
『温暖化』は、僕が怒っている証拠なんだ。
最近みんな、仲が悪いでしょ?喧嘩ばかりだ。
国と国が喧嘩してるのを見て、つい、熱くなっちゃって。
みんな、協力して生きていかなきゃだめだよ。
僕みたいに、独りぼっちじゃないんだから。
そして、『晴れ』の時は、僕が笑ってるってことだよ。
太陽は僕の宝物。神様にもらったんだ。
ほら、空を見上げてごらん。
僕の宝物、みえるかなあ。
最後に、みんなに伝えたいことがあるんだ。
みんな、いろいろと迷惑をかけてごめんね。
みんなが仲良くなったら、綺麗な地球をあげる。
その時は、僕はどこか遠い場所にいくよ。
みんなを仲良くする。
これが僕の使命だから。
僕のことを忘れないでね。
さようなら。
優しい巨人より。》

「誰だ?こんな手紙を書いたのは!」
その時、雨がポツリと降り出した。
信じてよ!!とでも言うように。

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