Mind Adventure 33
おおぉぉぉん―――――\r
音、というよりも強風の衝撃が、妖需達の体を、魂を―――\r
激しく、揺さぶった。
轟音に耐え兼ねたように、自らをきつく抱きしめて座りこんでいるフィレーネ以上に。
愕然とした、顔があった。
いつもどんな着色剤を使っているのか不思議がられる、限りなく白に近い、萌黄色の髪がたなびいている。
陶磁器のような白い肌は、これ以上ないくらいに蒼白で。
震えていた、かもしれない。
少々足を引きずるようにしながら現れたジンは、メシアの様子を一瞥し、息を短く吐いて目をそらした。
おおぉぉぉん―――――\r
おおぉぉぉん―――――\r
哀しき響きはいつまで続くのだろう。
否。
いつか、終わる日が来るのだろうか。
妖需は、いつの間にか"彼"に『弟』と呼ばれた存在に、自分を重ねていた。
集合体の中の、違う存在。
異端。忌むべき危険因子。
皆は、「全然違う」と言ってくれるだろう。
違う、言うのだ。
暗い発言をする"仲間"を諌めるのと同時に、励ます事で、自分を優位に立たせられる。
自分は、ずっとマシ。
自分にはこんな部分はない。
自分はこんな事ができる。
そうやって、自分に言い聞かせて。
いつから―――?
そして――――――
いつまで。
内部に詳しい案内役がいるとはいえ、すんなりし過ぎる位にあっさりと脱出を果たした一行は、それが何故可能だったか、今になって気付いた。
研究所の外は、見知らぬ森だった。
メシアの治療あって少しは見られるようになったが、皆拘束時に気絶させられた傷が癒えきっていない。
がさり。
突如、茂みが不自然に鳴った。
尾行の気配はしていたが、そろそろか――……
妖需は風矢に手をやり、腰をおとした。
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