奈央と出会えたから。<229>
* * * * * *
チョコのラッピングをし終えた――
さっき過呼吸の発作を起こしたあたしのコトを、
ミズホさんは、ずっと気にしてくれていた。
『奈央ちゃん。今迄に発作を起こしたコトは何回もあるの?!』
『大晦日の日に‥‥1度だけ‥‥息苦しくなったコトはありますけど、そのトキは直ぐに治まったんです。』
『そっか‥‥。』
ミズホさんは少しの間、何か考え込んでいる風な表情をしてたかと思うと、
突然、何か閃いたかの様に、
あたしにこう言ったんだ。
『奈央ちゃん。今此処に、聖人を呼んでいいかな?!』
えぇっっ?!
そ‥そんな急過ぎだよ!!
『あの‥‥。聖人には、まだ言わないで欲しいんです。
いきなり言ったら、びっくりすると思うし。
あたし‥‥実は、ずっと前から精神安定剤と睡眠薬を飲んでいて、
心療内科に通ってるんです。
このコトは、まだ聖人に言っていなくて‥‥。
何時か言わなきゃと思っているんですケド、
なかなか言い出せなくて‥‥。』
そう言えば、母にも言われていたんだ。
薬を飲んでいるコトを、
聖人には、ちゃんと話しておいた方がいいって。
でも、それは先にミズホさんに知られるコトになっちゃた。
『奈央ちゃん。好きなヒトには、もっと心を開いていいと思うな。
なんか、奈央ちゃんを見ていると、
何時も言いたいコトも言えないで、
殻の中に閉じこもっている様な気がする。』
ミズホさんに、そう言われてハッとした――
そして思った。
“もっと心を開いていいと思うな――”
この不安なキモチは、
ソレが出来ないからこそ起こるんだって――
自分のキモチに素直になれたら、
どんなに楽だろうって思う。
大好きなヒトの側にいるコトで、
安心出来る筈なのに――
不安なキモチになるなんて、
そんなのオカシイって――
あたしも思っていたケド――
聖人のコト好き過ぎて――
大好き過ぎて――
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