『もう終わりにしましょう。』
彼女は言った。
彼女はいつだってそうだった。
初めて手をつないだ日
初めて抱き締めあった日
キスした日
彼女は口癖のようにそう言った。
いったい何が不安なの？
僕は彼女を愛してる。
だけど僕は彼女が僕の事をどう想っているか知らない。
僕は彼女の気持ちを知らない。
だけど彼女も僕の気持ちを知らない。
言いたくなる瞬間など山程ある。
だけど絶対言わない。

ふられるのが怖いから…。

そんな彼女は今日も例の口癖を言う。
その日は初めて彼女を抱いた日だった。
僕はこの時
あのセリフを言わずにはいられなかった。
その日は夕焼けがとてもきれいで
色白の彼女の顔がオレンジ色に染まり
とてもきれいだった。
僕は彼女を離したくなかった。
『愛してる…』
彼女の目から涙がこぼれた。
どうして？
僕の事が嫌いなの？
彼女は首を横に振る。
顔をかくさないで
もっとよく見せて？
彼女は僕の事をちゃんと愛してた。
僕の気持ちを知りたくて例の口癖を言うのだ。
僕は彼女を抱き締めた。

僕達はずっと一緒だと誓った。

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