摩天楼 その12
後日、マーチがヒオにそのことを話すと、ヒオは酒場に連れて来ることを提案した。ココの家である酒場にはピアノがある。廃車置き場のとは違って、鍵盤は揃っているし音色もずっと良い。
マーチはリリィを酒場に誘った。
「それはひょっとしてデートに誘ってる?」
彼女は腕を組んでいぶかしげにマーチを睨んだ。全くそういう気は無い。まさか違うよ。マーチはきょとんとして言った。
酒場には待ってましたと言わんばかりのヒオが座っていた。ココはピアノまでリリィを案内する。リリィはすぐにピアノの前に座る。後ろで立っていたマーチの方を振り返って最高の笑顔をしてみせた。
マーチもちょっとだけ笑ってやった。
「ねぇ弾いてよ」
ピアノから流れる旋律だけが部屋に満ちた。アラベスク、さ。それはまるでリリィの白く細い指先から生まれるように。
マーチはメロディを生み出すリリィの背中をぼんやりと見つめていた。
マーチはリリィを酒場に誘った。
「それはひょっとしてデートに誘ってる?」
彼女は腕を組んでいぶかしげにマーチを睨んだ。全くそういう気は無い。まさか違うよ。マーチはきょとんとして言った。
酒場には待ってましたと言わんばかりのヒオが座っていた。ココはピアノまでリリィを案内する。リリィはすぐにピアノの前に座る。後ろで立っていたマーチの方を振り返って最高の笑顔をしてみせた。
マーチもちょっとだけ笑ってやった。
「ねぇ弾いてよ」
ピアノから流れる旋律だけが部屋に満ちた。アラベスク、さ。それはまるでリリィの白く細い指先から生まれるように。
マーチはメロディを生み出すリリィの背中をぼんやりと見つめていた。
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