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Killing Night Freaks/Chap.2-7

[335]  夢の字  2008-09-29投稿

「だったら、この山に入られるのが嫌だったのかな」

もしくは、見つけられたらマズイ何かが有る、と。なんだか、きな臭い話になって来た。海潮辺りだと溜息を吐くことだろうけど、僕は。

「うん……楽しくなって来た」

此処には何かが有って、誰かがそれに触れさせまいとして居る。それは他人の命なんてどうでもいい程のもの。

なんとも、好奇心を刺激されるものである。

頬が歪む。自然と、笑みの形に。鉈を握る手に力が篭り、把が軋んで音を立てた。血が疼く。極度の興奮で目眩がする。鼻唄さえ口ずさんでしまいそうだ。

「楽しみだなあ」

呟き、足取りも軽やかに歩き出す。取り敢えずは下山だ。海潮と合流せねば。散々走り回った今から探し回ろうとしても、道が分からずに遭難する可能性だってある。ザックも逃走時に置いて来た。今有る最低限の水と食料での捜索は無謀だ。携帯も圏外で通じない。それに、出発前に予め何か有ったらペンションに戻ることになっているし、海潮が無事切り抜けられていればそこに居るだろう。探しに行くにしても、それからだ。自らの安全が再優先。お互いに言い含めあってある。

と、左手に斜面。……渡れない傾斜では無い。木も生い茂っているし、ちょうどいいか。下に向かうために飛び込んだ。斜面を蹴り跳ねるようにして移動し、速度が出過ぎたと思えば木を直蹴りしてスピードを殺す。その際に後方宙返り等トリックを決め、弾む心のように跳ねては下る。……と、

「お?」


視界に、違和感。その感覚に従って足を止める。勢いづいていたため足を着いた木がみしりと揺れた。振動に木葉が僅かに舞う。

地面に下り、違和感の正体を探る。程なくして、それは見つかった。


死体だ。人の、けれど海潮のではない。三十代くらいの男性で、まだ、新しかった。腐臭がしないし、脂肪もまだ溶けてはいない事からも分かる。

どうするか、と一瞬迷い。両手を合わせてから死体の荷物を漁った。何か、身分を表すものがあればいいんだけど。

「……と、財布発見」

果たして、目的のものはそこにあった。自動車の免許証だ。それだけを手に取り、財布は元に戻しておく。

「……ま、残念な結果なんだろうけど」

ポケットから取り出した行方不明者のリスト。その、真ん中の方に彼の名前があった。

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