時と空の唄7-1
ニコラに緊急避難してから一晩が経った。
相変わらずラウフはぎゃあぎゃあ騒いでいるがそれに比べシーラの方はどんどん塞ぎ込んでいっている気がする。
常に俯き何かを必死に考えているようだ。
「なあ、シーラ。
サントラーセットでカロウドと一体どんな話をしたんだ?
昨日からお前、ヘンだ。」ランスォールが声をかけるとシーラは顔を上げた。
と思ったらまた俯いてしまった。
「…………あのね」
俯いたまま小さく言った。「わ、私………………」
そう言って一つ一つ小さな声で語られていくのは20年前のあの日のことだ。
ずれた目的、不死、今のカロウドの夢見る世界、そしてもう一度研究をしよう、と持ちかけられたこと……
「私の声は…父さんに届かなかった。
どんなに叫んでも私の言葉は、父さんの心に響かなくて闇の中には飲まれちゃった………。」
俯いていたシーラの目から大粒の涙が一つ落ちた。
「もう……父さんを止めることが出来なくなっちゃったの。」
これは、あの時逃げ出した私への罰でしょうか。
逃げるばかりで、嘆くばかりだった私に、カミサマは罰を与えたのでしょうか。
カナシイ。
クヤシイ。
この先どんな罰だって受けるから。
たとえこの命を差し出すことになっても構わない。
だからどうか、
カミサマ
いるのなら、
私から希望すらも奪わないで。
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