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Killing Night Freaks/Chap.2-9

[320]  夢の字  2008-10-01投稿

一瞬、視界が暗くなる。何故、と問う必要はない。不意の衝撃を感じた脳が、反射的に目を閉じたのだ。身体がのけ反る。が、踏み止まった。

「……いちち」

強打した額をさすり、怪我の具合を確かめる。大事は無い。危惧されるのは脳震盪だが、身体がふらつくことも無く、その心配はないようだ。

さて、と。

先程衝撃を感じた所まで歩み寄り、そっと手を伸ばした。掌に固い感触。見えない何かに触れている。息を吸い、

「……!」

打撃。叩きつけた掌底に跳ね返る硬質な衝撃。木材を打ったときと同じような感触だ。ある程度の固さがあり、そして少しは衝撃を吸収する。

「でもって透明、と」

樹脂材か何かだろうか。にしては透明度が高い。光の照り返しさえ無く、まるで何も無いように見える。……そんな物質なんて、僕は知らない。

「……」

手を伸ばし、見えない壁に手をついた。そのまま壁に沿って歩き出す。何処までこの壁が続いているのか確かめるためだ。暫く歩いても、手の先の感触が消えることは無い。小一時間程歩いて、立ち止まる。これ以上は、無駄だ。きっとこの壁は山をぐるりと囲っている。脱出不能。ペンションに戻ることもままならない、か。成程、山に入った人が帰ってこないのはこのせいか。原理はどうか分からないけど、山に入ったと同時にこの壁に閉じ込められて、そのまま逃げる事も出来ずに猟犬に襲われて亡くなった、と。

さて、困ったことになった。理由は分かった。生存者の安否は危うい。救助に向かおうとしても装備は整えられず、逆に自分の安全さえ確保できるかどうかというような状況。正直、絶望的だ。

「……まずは、脱出経路の確保、だな」

生存者を探しに行って、例え救助できたとしても……逃がすことは出来ない。見つけるだけ見つけてはい放置、という訳にもいかず、だからと言って連れ歩く訳にもいかない。生存率が下がるからだ。現状を打破できる可能性のある戦力は、恐らく僕と海潮だけだから。行動を制限されれば、脱出の可能性が著しく低下する。そしたら待つのは死だ。食料切れによる餓死か、猟犬に襲われての惨殺かにしかならない。戦力と高機動を維持するためには一人がいい。でないと海潮と別れた意味が無い。

全く、溜息が出るね。考えても不利な状況しか見えてこない。目標だって判然としないし。

でもま、やるしかないか。

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