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ロストクロニクル2―11

[438]  五十嵐時  2008-10-06投稿
タクトたちは少し休んでから大広間を出て行くことにした。
「そろそろ出ましょう」
「ウェド動けるのか?」
「ああ、ちょっと肩を貸してくれ」
「分かった。パールは左肩を持ってくれないか」
「分かったわ」
「こいつ、何者なんだ?」
「後で説明するから」
タクトは右肩を支えながら答えた。
三人はウェドを真ん中にして扉の方へ歩いて行った。
「待つのじゃ!」
パールは恐る恐る振り向いた。
「タ、タクト」
「分かってるよ。前を向いて扉に向かうんだ。これ以上は、戦えない」
パールは遥か向こうにいる老人を再び振り返った。そこには、頭上に鎌を構えて、降り下ろそうとする老人の姿があった。
何をするのかしら?
「タクト、何だか嫌な予感がするの」
「あんなに遠くで一人で素振りして楽しいのかな?」
タクトも見ていたようだ。
「そんな訳ねぇだろ。まずいぞ」
ウェドがとても真剣な表情で言い出した。
「どうして?」
「早く適当な柱に隠れろ!」
老人は今にも鎌を降り下ろしそうだ。
「どうして?あんなに遠くで・・・」
「いいから早く隠れろ!間に合わねぇぞ!」
訳も分からず左の柱に隠れた。
降り下ろした!
すると老人の前にあった数十本もの柱がドミノ倒しの様に次々と大きな音を立てて崩れ出した!
「なんなの!」
「衝撃波だ」
ウェドが驚きの声を上げた。
「何が起こったの?」
「衝撃波ってのは、一種の魔法で爆発的な破壊力を持つ目に見えない波のことだ」
「そんな技を持ってたのか」
「隠れても無駄じゃぞー」
老人の声が遠くで聞こえる。
「あんなに遠くでこれだけの破壊力か」
「伏せろ!」
伏せた瞬間、隠れていた柱が壊れ、頭上を衝撃波が走った。
「見つけたぞー。観念しなさい」
「まずい!こっちに撃ってくるぞ!」
「ぼくが止める。だから、二人はその隙に扉から出るんだ」
そう言うとタクトは前に飛び出した。
「ほぉー、渡す気になったのかのー」
タクトは剣を構えた。
「そうか、それは残念だ」
老人は衝撃波を撃った。
見えない波が迫ってくる。
「バリン!」
波がガラスが割れる様な音を立てて左右二手に別れた。
「止めたのか。なかなかじゃのう」
駄目だ!衝撃が強過ぎる!
「タクト!」
「さぁて、後何回耐えれるかのー?」

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