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星の蒼さは 126

[521]  金太郎  2008-10-06投稿
「工作兵…やられました」

足元に転がった黒衣の男の顔を蹴って狩野は舌打ちした。

成る程、隙の無い見事な制圧だが、個々の能力はそれほどでもない。

実際、右手左足を骨折している自分でさえ、三人を相手にするのは楽だった。

「お怪我は?」

滝川を振り向くと、滝川は化け物でも見たかのような顔でこちらを見ていた。

「凄いわね」

それほど本気を出した訳ではなかったが…

「恵美、いや、艦長。第二戦闘配備を。あおかぜは強固です。すぐさま全域を制圧される事はありえません」

制服をてきぱきと着て、狩野は滝川に促す。

「わかってる」

滝川は艦内放送のマイクを掴み、怒鳴った。

「第二戦闘配備!繰り返す。総員、第二戦闘配備!あおかぜ艦内に敵勢力が侵入。白兵戦の用意!これは演習に非ず!繰り……」






(繰り返す。総員、第二戦闘配備……)

すぐ目の前のスピーカーから大音量の緊急放送が入る。

「思ったより早く気付いたな…」

ハーケン・クロイツは鼻で笑った。

いくら出てこようが関係無い。

もともと、この艦を落とすつもりなど毛頭無い。

標的は『娘』ただ一人なのだから。

アメリカ軍の援軍も、こちらの【後詰め】の部隊が抑える手筈になっている。

ハーケンは物陰から飛び出してきたアオカゼのクルーを撃ち殺し、身近のドアを開けた。






<少佐!帰ってきたら、なんかご褒美くれるんだよね!?>

<桜花(ロウファ)、うるさいぞ>

<何よユアン!ユアンだって期待してるくせに>

<っ!?俺は!>

「やめろってお前ら」

コクピットの画面の端で激しく口論する二人の【能力者】、

ユアン・イルスキー

李桜花(リ・ロウファ)

の二人の間に割って入り、二ノ宮吟次はため息を洩らした。

「ご褒美って歳でもないでしょうが。旧友に会えるんだぞ」

<うふふ…アキね。ユアンは楽しみよね〜。アキの事好きだったもん>

<違っ!>

「頑張れユアン」

<少佐…>

笑いながら、二ノ宮は時計を確認した。

頃合いだ。と小さく呟き、二ノ宮は談笑する二人の邪魔をする。

「作戦は手筈通りにやれ、ユアンは上空のアレクサンドルを引き付けろ、ロウファは俺と来い」

三人は同時にWWを起動させた。

日本製【第三世代・蟒丸(ウワバミマル)】

ロシア製【第八世代・ブラーチャ】

中国製【第四世代・天童】

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