奈央と出会えたから。<241>
* * * * * *
春休みになってから、
あたしは、ずっと絵を描いていた。
もう直ぐ聖人の誕生日。
プレゼントどうしよう。
そう考えてたトキに思いついたんだ。
絵をプレゼントしようって。
ねぇ‥聖人。
あたしの絵を初めて褒めてくれたヒト。
――“これは凄い才能じゃん?!俺なんて絵の才能全く無しだぜ?!――”
あはは‥‥。
絵を描きながら、
夏休みに初めて聖人に会った時のコトを、
あたしは思い出していた。
あたしの絵は、
パステルでスケッチブックに好きなモノを描くといった程度の、
簡単なスケッチでしかなかったのに。
なのに聖人。
あなたは、何時もあたしの絵を褒めてくれたよね。
――“おっ!!すげぇ‥。木下。やっぱお前は絵の才能あるって!!”――
そんなコト言ってくれたのは、
あなただけでした。
もう直ぐ春だね。
聖人が生まれたのは3月26日――
あたしが生まれたのは5月1日――
あたし達って、
同じ春に生まれたんだね。
あたしより、
学年が2コ上の聖人だけど、
聖人は早生まれだから、
あたしとは、年は1コしか違わないんだね。
あなたの――
“大きな心”が好きです――
あなたの――
“あたたかさ”が好きです――
あなたの――
“少し照れた様な笑顔”が好きです――
あなたの――
“怒った顔”は、ちょっとコワイケド――
そんな、
あなたが大好きです――
あなたの全てが知りたい――
聖人のコト、
大好きだからっっ。
好きすぎて、
大好きすぎて、
たまんないよっっ。
パステルを滑らせる手が震えた。
何故か涙がじわりと浮かんだ。
ねぇ‥聖人。
好きなヒトの顔を描くのって難しいよ。
何時も見ている筈の大好きなヒトの顔を描くのが、
何故が1番難しかった。
――“ん―。やっぱ木下の将来はアーチストか?!”――
あなたとのコトを思いながら――
あたしは、あなたを描き続けた――
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