BAD GIRLその?
町の中心部にある、如何にも成金趣味な派手な屋敷。
門番の二人は毎日をぼーっと過ごし、生きてる気がしない…と言うアンニュイな欠伸をした。
そこに異国風の格好をした浅黒い肌の男が、目も覚める様な美少女を連れて来た。
彼女は、そのたわわな胸に右手を添え、いたいけな瞳で不安気に門番を見つめている。
自分の物にはならないと理解しつつも彼等のテンションは上がり、少女の運命を思って、可哀想に、と真人間っぽい事を考える。
考えるだけ。
「何か、めちゃくちゃ簡単に通されたな…ワナじゃねーだろぉな」
余りに素直な門番の態度に、ロングヘアーのかつらがずれてないか、とハゲ親父の如く気にしながら、タックは不信感を露にする。が、
「アンタがそれだけ魅力的ってことさ」
「そっか」
俺のクサイ台詞にあっさり納得した。
コイツ、生きてて楽しいだろうなぁ。
あっさり通された俺達は、そのまますんなり亭主と御対面。
ハゲでデブで不細工、オマケに悪趣味。
こんな男が金持ちになって成功しているって言うのは、もはや人生の神秘だ。
「オヤカタサン、コノ娘カワイソナ娘。
オヤナイ、ウチナイ、セェノビナイ!
ダケドコノ通リ、ボイン!!顔モイケテル!
買ワナイカ?」
怪しい商人こと俺は、タックのニセ物の胸と化粧で3割増しの顔を売り込む。
彼女は俺の隣で、大人しく従順な美少女を演じている。
やればできる奴だ。
亭主は彼女の全身を舐めるようにネチネチと眺め、鼻息を荒くする。
タックは恥じらう様にその視線から逃れ、よっぽど気色悪かったのか、誰にも気づかれぬ様に俺を蹴りつけた。
逃れる所までしか見ていない亭主は、大変彼女を気に入ったらしい。
「いーよォ。幾らぁ?」
決断の良さが成功の秘訣なのか、商談は意外にサクサク進む。
サクサクッ。
そして、俺の元には大金が転がり込んだ。
タラララッララ〜♪
かくして俺はタックを騙して売り飛ばしました。
めでたしめでたし。
ではつまらない、と。ここで終わると田舎から出てきた甲斐がない。
俺は、このままズラかる、と言う誘惑を振り払った。
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