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Killing Night Freaks/Chap.2-14

[348]  夢の字  2008-10-09投稿

「少し、その男に聞きたいことが有るの。だから……」
「やあ、久しぶり」
「……殺さないでくれると助か、ってあなた」

声をかけてようやく僕に気付いたのか、少女が声を止める。息を詰まらせて目を見開き、注視する。

「そんなに見詰められると照れるんだけど」
「……生きていたのね」
「あれスルー? 折角ボケたのに」
「……まぁいいわ。それよりそっちの男だけど、聞きたいことがあるから殺さないで」

そっちの、の所で視線が一度、僕に吹き飛ばされた男に向く。少女から目を離さないようにして、僕もそちらを確認する。恐らくは後頭部を強打したのだろう、気を失って倒れていた。起き上がる気配はない。もはや、勝負は決した、か。

「うい。別にいいよ」
「そ。ありがと」

言うや否や大股で気絶している男に近付くと、胸倉を掴み上げて持ち上げた。そして平手。頬を打つ甲高い音が、断続的に続く。痛そうだ。腕を斬っておきながら、人事のようにそう思う。

「……う……ぁ……あ……」
「起きたわね。今からあなたに質問するわ。死にたくなかったら正直に答えなさい」

あ。海潮、無事かなぁ。さっさと退路を確保しないと。まだ余裕は有るだろうけど、早く治療しなきゃ。病院……は無理だろうから、マサト先輩の家に運ぶことになるんだろうか。

「三月二十日、“式”を街に放ったのは、あなた?」
「なんのこと……がっ」
「はっきりイエスかノーで答えなさい。殴られたく無ければね。……もう一度聞くわ。三月二十日、“式”を街に放ったのは、あなた?」
「……違う」
「そ。違うの」

乾いた声でそう言うと、胸倉を掴んでいた手を離した。男の身体が地面に落ち、跳ねる。

「お前たちは、何者だ? 何故私の邪魔をする」
「なんでかしらね。私は私用だけど。……あなたは?」
「僕? 僕は、そだね。行方不明者の捜索の途中で、友達が襲撃されたからかな」
「それ以前に何人も犠牲者出しといて、それで擬装もしないなんて邪魔されて当然じゃない。遅かれ早かれ誰かが来たわよ。それが、たまたま私やコイツだっただけ」
「それまでに仕上げるつもりだったんだがな。まあいい」

くつくつと喉を鳴らして、男が笑う。その反応は異常だ。追い詰められていて、何故笑う?

警戒を強めた瞬間、男が吠えた。口の端を吊り上げ、勝利を確信した顔で、

「――喰らいつけ!」

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