BAD GIRLその?
ジリリリリリ…
非常ベルが、死にかけのセミみたいに、やかましく鳴り響いている。
そのナンセンスなBGMに合わせて、警備員達が爆発のあった現場へと向かう。
どいつもこいつも、的外れな時間に目覚ましをセットしたアホをしばきに行くって顔だ。
そうして手薄になった場所から俺は潜入した。見つかっても誤魔化せるよう、予め入手していた警備員服を着ている。
前の持ち主から譲り受けた後、自分で洗濯したのが、乾き切ってなくて気持ち悪い。
今頃タックは大変な事になっているだろう。知った事じゃないが。
俺は警備員に見咎められぬよう注意を払いながら、目的の部屋を探す。
この趣味の悪い屋敷の最も悪趣味な所は、別館に何人もの女が奴隷として囲われているって所だ。
そういう場所を探索するのは、胸クソが悪くなる、と言いたいがやはり楽しい。
行く先々で半裸だのコスプレだのに遭遇し、時刻は深夜、とくれば男として、いや♂として反応しない訳はない。
…こんな状況でなければ。
非常ベルの騒音と警備員の掛け声の中、彼女達の憐れっぽい脅えようを前にしてタッチやハイハイ出来る程、俺のムスコはKYじゃない。
そして生憎、正義のヒーロー面して彼女達を全員逃がす余裕は、俺には無い。
よって無視して次々と進む。
しかし、俺の探しものは、1階にも2階にも無かった。とすれば、…もしかして3階か?
それは不味かった。
タックとはち遇わす可能性が大だ。俺は殺されるだろう。
それに、警備の人間もほとんど3階へ向かったハズだ。
俺は自分の計画を後悔し始めた。タックには3階でなく、1階の階段から遠い部屋へ向かわせるんだった。
今さら考えても仕方ない、今まで女運がない分どこかにラッキーが残ってる筈、と腹を決め、帽子を目深に被り直して、俺は階段を駆け上がる。
階段付近には、警備員もタックも居なかった。
どうやら上手く、例の部屋に惹き付けられているらしい。
俺は心の中でタックを激称する。
タック、アンタは天才だ。
バカの天才!w
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