湖畔【4】
-三ヶ月後-
<8月>
いつものように彼との待ち合わせ場所に向かう。
いつものように彼は先にカウンターで軽く飲んでいる。
ただ今日はいつもと違った。彼の隣に見知らぬ男性の姿があった。
彼の元へ足を運んでいくと、だんだん顔がはっきり視界に入ってきた。
あっ!
思わず声が上がりそうになったのを必死に飲み込む。 あの人だ…しゅんと呼ばれていた、三ヶ月前あの町で出逢った…間違いない。でも、どうして…
彼がこちらに気付き手を上げる。男もこちらの方に顔向ける。目が合った。
動揺を隠しながら、彼の元へ更に歩を進める。
「健ちゃん、お待たせ」
いつもと変わらぬように隣に腰を落ち着かせる。
心臓はドキドキし、今にも破裂しそうだが。
「佑子、紹介するよ。俺の幼なじみの駿」
「初めまして。速水駿(はやみしゅん)です」
男の顔には驚きの顔は感じられなかった。
「は、初めまして」
思わずそう返していた。
「それで、俺のフィアンセの佑子」
もう一度軽く頭を下げた。そう佑子は健ちゃんこと、高村健治とこの秋には結婚する予定だ。
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