desteny?
「早く行かねぇと、遅刻だぞ。」
淳は、私を追い抜いて、校舎の中へ吸い込まれる様に、消えて行った。
私は、暫くその場に立ち尽していた。明日からは、こうやって、毎日、淳とも逢え無くなる・・・。
胸の熱い物と共に、涙が込み上げて来た。
いきなり、後ろから肩をポンと叩かれた。麗華だった。
「おはようっ!いよいよ、今日は卒業式だねぇ・・・。香里、淳に彼女が出来たの、聞いた?」
愕然とした―\r
寝耳に水だった。淳は、私に何も話さなかった。三日前に、教室に呼び出された時も、今も、彼女が出来たなんて、私には一言も言わなかった。
「ううん・・・。聞いてない。」
「聞いて無いんだ・・・。言っちゃいけなかったのかなぁ?淳ね・・・、一週間位前に、淳がバイトしてるお店に来てた女の子に、付き合ってくれって、告白されたんだって。香里に振られてから、誰とも付き合って無かったじゃん?香里の事、ずっと忘れられ無かったみたいだよ。」
「三日前の放課後に、淳に教室に呼び出されて、ずっと親友で居ようって言われたの・・・。」
麗華は、足元に落ちていた小石を爪先で蹴りながら言った。
「淳から聞いたよ。気持ちに区切り付けたかったんじゃ無いかなぁ・・・。新しい彼女と付き合う事になったし。」
麗華は、独り言を言う様に、私とは目も合わさずに、下を見て言った。
「私は・・・。もう、あっちゃんの事なんて忘れた。親友だけど、それ以上の気持ちなんて、今更無いよ。」
「そうだよね?香里から、別れを切り出したんだもん、今更、淳に未練なんて有る訳無いよね?」
心が痛かった。淳にだけじゃ無く、親友の麗華にまで平気で嘘を付いている、自分の事を、醜く思った。
「未練?冗談でしょ?有り得無いよ。親友に、未練も何も有る訳無いじゃん。」
強がりに聞こえないか、気にしていた。努めて、冷静を装う。
「香里が、淳と別れる時に、好きな人が出来たって言ってたけど、その人とは、何にも無いの?」
そんな男性は、元々、実在すらしない―\r
あの日の事は、淳だけじゃ無く、親友の茉莉子や麗華も知らない事だった。嘘に嘘を塗り重ねるしか無かったのだった。
「何も無いよ、勝手な片想いだしね・・・。遠くに引っ越してっちゃって。もう・・・、忘れちゃった。」
また一つ、嘘を重ねた。そんな話をしただけで、また、思い出したくも無い、あの日の事を頭に思い浮かべた。
「そっか・・・。ま、遅刻しちゃうから、早く行こっか?」
麗華は、私の腕を引っ張って、教室へと走り出した。
淳は、私を追い抜いて、校舎の中へ吸い込まれる様に、消えて行った。
私は、暫くその場に立ち尽していた。明日からは、こうやって、毎日、淳とも逢え無くなる・・・。
胸の熱い物と共に、涙が込み上げて来た。
いきなり、後ろから肩をポンと叩かれた。麗華だった。
「おはようっ!いよいよ、今日は卒業式だねぇ・・・。香里、淳に彼女が出来たの、聞いた?」
愕然とした―\r
寝耳に水だった。淳は、私に何も話さなかった。三日前に、教室に呼び出された時も、今も、彼女が出来たなんて、私には一言も言わなかった。
「ううん・・・。聞いてない。」
「聞いて無いんだ・・・。言っちゃいけなかったのかなぁ?淳ね・・・、一週間位前に、淳がバイトしてるお店に来てた女の子に、付き合ってくれって、告白されたんだって。香里に振られてから、誰とも付き合って無かったじゃん?香里の事、ずっと忘れられ無かったみたいだよ。」
「三日前の放課後に、淳に教室に呼び出されて、ずっと親友で居ようって言われたの・・・。」
麗華は、足元に落ちていた小石を爪先で蹴りながら言った。
「淳から聞いたよ。気持ちに区切り付けたかったんじゃ無いかなぁ・・・。新しい彼女と付き合う事になったし。」
麗華は、独り言を言う様に、私とは目も合わさずに、下を見て言った。
「私は・・・。もう、あっちゃんの事なんて忘れた。親友だけど、それ以上の気持ちなんて、今更無いよ。」
「そうだよね?香里から、別れを切り出したんだもん、今更、淳に未練なんて有る訳無いよね?」
心が痛かった。淳にだけじゃ無く、親友の麗華にまで平気で嘘を付いている、自分の事を、醜く思った。
「未練?冗談でしょ?有り得無いよ。親友に、未練も何も有る訳無いじゃん。」
強がりに聞こえないか、気にしていた。努めて、冷静を装う。
「香里が、淳と別れる時に、好きな人が出来たって言ってたけど、その人とは、何にも無いの?」
そんな男性は、元々、実在すらしない―\r
あの日の事は、淳だけじゃ無く、親友の茉莉子や麗華も知らない事だった。嘘に嘘を塗り重ねるしか無かったのだった。
「何も無いよ、勝手な片想いだしね・・・。遠くに引っ越してっちゃって。もう・・・、忘れちゃった。」
また一つ、嘘を重ねた。そんな話をしただけで、また、思い出したくも無い、あの日の事を頭に思い浮かべた。
「そっか・・・。ま、遅刻しちゃうから、早く行こっか?」
麗華は、私の腕を引っ張って、教室へと走り出した。
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