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BAD GIRLその?

[522]  ケィ。  2008-10-13投稿

足音は、部屋の前で止まった。

警備員に嗅ぎつけられたか、それとも…まさか、タックが?

バカな、あの自己中女が、この部屋に何の用があるっていうんだ?

第一、あれだけの警備員を相手に無事でいられる筈は無い。

しかし、もしアイツが捕まったなら、俺の存在を喋ったかも知れない。
アイツには侵入する事は打ち明けなかったが、警備員に仲間がいる、とは話した。

そして今俺は見事に、警備員の制服を着ている。

俺は足音の主を、俺の侵入に気づいた警備員と決めつけ、身構える。

「もー、先輩がゲームなんかに誘うから、不審者がどっか行っちゃったじゃないですか!」
「ノリノリだったくせに何言ってんの」
「いーえ!ちゃんと反対しました!」
「ハイハイ、口だけは、ね。じゃあ見つからない事だし、もう一試合やろうか」
「全然反省してないですね、先輩」
「君もね」

…何だ、ニャンニャンじゃなかったのか。
紛らわしい。

どうやらこの部屋に来る事は無さそうだ。
俺はホッと胸を撫で下ろした。

張りつめた空気が元に戻った所で、冷静さを取り戻したチェルシーが俺に詰め寄る。

「説明して。どうして彼は…」


バキッ  ドゴッ
「せ…先ぱ…い…」

ガスッ
「ぐあああぁ!」




…廊下で、不審な物音がした。
俺の全身を、冷や汗が伝う。何故だろう。

成金趣味丸出しの、派手な扉が、ゆっくりと――――開く。


カツン カツン

扉をくぐって入って来たのは、髪の長い少女だった。

が、ずる、と、その頭が突然地面に落ちてしまった。

しかし心配は要らない。落ちたのはカツラだった。
依然首は肩の上に載っている。

ザンバラ頭の、血みどろの顔が。


その口元が、ニィ、とつり上げられる。

「よォ、相棒。こんな所で何してンだ?」

タックは、やけにニコニコと近づいて来た。俺の本能が警鐘を鳴らす。いつからこの話はホラーになったんだ?

「タック、良かった、今から助けに行こうと…」

ゴ。

「るっっっっっっせぇンだよ!!!!
服が!!メチャクチャになっちまっただろーが!!!」


俺は今、脳みそがグチャグチャになったかと思ったのですが。

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