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再・部屋

[543]  はこもの  2006-06-12投稿
昔、友達が『部屋』にたどり着いたが、その中にいた男と2言3言、言葉を交わしただけで出てきたと言っていた。

「あそこは寒すぎる」


…その話を聞いてから約2年。オレはその部屋のドアらしき物の前に立っていた。ノックはせずドアを開ける。ドアはすんなり開いた。中には男が1人椅子に座っていた。

「やあ」男が言った。

オレは何も言わずに煙草をくわえた。

「寒くないかい」男も煙草をくえた。

「いいや」オレは火をつけた。「全然寒くないかいね。あいつには寒かったかもしれないがオレには全然寒くない」

「ならいいんだ」男も煙草に火をつけた。「ところで、君はここに何をしにきたんだい」

「さあ」本当にわからなかった。

「もしよかったら」男が口を開いた。「私の代わりにこの椅子に座ってくれないか」

「かまわないよ」オレは言った。

男は椅子から立ち上がり部屋から出ていった。



そんなわけで、今オレは部屋の中の椅子に座って誰かが来るのを待っている。

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