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夜に咲く華〜その20〜

[275]  岬 登夜  2008-10-15投稿
「で、上手くいったの?」

紅は興味深々妙に詰め寄る。

妙は黙って頷きさらに顔を赤らめた。

「さあ、私もお話ししたんですから紅お嬢様も教えてください」

今度は妙が紅に詰め寄った。

「いや、その…。連二郎と…。くちづけを…ね」

しどろもどろになりながら紅は答えた。

「まぁ、くちづけだけでこんなに綺麗になるなら最後までいったらどうなるんですか?」

と妙は紅を羨望の眼差しでみた。

「最後までって…」

妙の言葉に紅の頬は染まった。



「へぇ。あの連二郎とねぇ。以外と紅ちゃんとお似合いかもね」

着替え終わり、帳場にいくなりあやめに捕まり話しを聞かれた。

「で、肝心の連二郎は?せっかく冷やかしてやろうと思ったのに」

そういえば、一緒に戻ってから姿がみえない。
紅の脳裏にふっとあの健吾の姿が浮かぶ。

「もしかしてどぶ板通りかも…」

知り合いがいるから聞いてみる

連二郎はそういっていた。早速動いてくれているのかも。


紅は昼間見た健吾の異様な姿を思い出し、急に連二郎が心配になった。



どぶ板通りはその名の由来通りどぶの臭いが漂っていた。
連二郎は昔馴染みのヤスのねぐらを探した。

「よう。どうした?」

不意に現れた連二郎に驚いた風もなくヤスは今にも倒れそうな小屋の中で安い酒をつまみ無しで飲んでいた。

「いや、ちょいと聞きたいことがあってさ」

ヤスはこの一体を仕切っている川渕組の一員で連二郎とは幼なじみだ。

連二郎は持って来た酒とつまみをヤスに差し出す。

「こりゃあ上等の酒とこれは鰻だな。なんだ聞きたいことって」

待ち切れないと言わんばかりに紐をほどき直ぐさま鰻に噛り付く。

「最近か、半年ほど前からか男と女の二人連れが流れてこなかったか?」

連二郎は口で酒の栓を抜きそのまま呑んでヤスに渡した。

ヤスは黙ってそれを受け取り一口飲む。

「あぁ、そういえば二ヶ月ほど前にやたら身なりのいい二人連れが流れて来たなぁ。かなり憔悴してたみたいだがな。何でも騙されて有り金みんな取られてここに来たらしいぜ。結局女が身体売って生活している様だけどな。知り合いか?」

「ふーん。まぁな」

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