携帯小説!(PC版)

腐りかけ16

[274]  ソウル  2008-10-16投稿
「カッコさんは少しもこわがらないんだね。初めてバイク乗ったんでしょ?」 「だって…そのまま荷物みたいに乗ってたら…風がアタシを運んでたんだよ」アタシはやや興奮していたのか早口だったし相手が若いとかそんなこんなを忘れていた。「俺、初めてだよ。そのままキャーってシガミツカナイで風を楽しんで乗ってたヒトって…俺がそのまま独りで乗ってるみたいに走れた!」 尚はポンポンとアタシの頭をメットの上から優しく叩いて笑っていた。

………………
「半年に家族が2人消えたんです…」遠くから声がしている
「…娘はまだ13だった。ピアノ帰りに自転車ごと追突されて…即死だった」身体を起こそうとしたが睡魔が襲ってドウニモならない。
「ああ!無理して起きなくていいよ…そのまま酔いつぶれていなさい…そのほうがいい。」
「…ただアナタを物だと勝手に考えて独白していたい私を許してくださいよ……彼処で馬鹿に盛り上がってる奴らは私が娘と妻を一緒に亡くしたのを慰めるためにこんな場所をもうけてくれたらしいけどね…私はもっともっと罰を受けて生きなくてはと思うくらいなんだ」
「娘を亡くした哀しみとやり場のない怒りで妻に…逃げ場のないせめかたをしてしまった…要するに‘オマエノセイデシンダンダ’雨の降りそうな夕方になんで自転車で通わせたんだ、送ってやったら死なずにすんだ…と」 「妻は何にも言わずに…黙って私を会社に送り出し…その夜に自殺した。」アタシはゆっくり頭を持ち上げた…苦痛にゆがむ、男の顔が無理に笑顔をつくろうとしていた

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