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幸せのかたち

[310]  清正  2008-10-17投稿
「あんた吉田さんだろ?」

仕事帰りに電話で人と話してる最中に呼び止められた。

歳は25、6で細すぎる体型にややボサボサの黒髪で肩に届かないくらいのなかなかの男前である。

が、深く暗い黒瞳から強い決意を感じる。

この感じは−

「あんたは?」

そう答えると、抑えたトーンで、

「綾香の彼氏の伊藤だけど、あんたと話がしたくてな。」

チッ。

わざわざ会いに来たとゆーことは…

「話ってのは何さ?食事でもするかい。」

だいたい名乗り方から察しもつくが、軽く挑発しながら相手の反応をみる。

「馴れ合いに来た訳じゃないんだよ。
そんな挑発には乗らない。
綾香と会うのをやめてもらいたい。」

間髪入れず−

「そりゃ無理だ。それに綾香は何て言ってる?」

そう言うと少し口ごもり、綾香の答は伊藤とは異なるようだ。

「あいつが会うと言ってる以上俺は会うのをやめないし、やめるつもりもない。
それにただの友達だって聞いてないのかよ?」

どうやらそう聞いてるみたいで、苦虫をかみつぶしたような顔のまま低い声から怒号に変わる。

「嘘だ…友達なんて絶対嘘だ!
二人で旅行に行くか?
泊まりに行くか?そんなものは認めない。誰がなんと言おうと認めない!」

「こんなことしてたら綾香に嫌われるぜ?
それに今の気持ちをそのまま伝えたのか?」

伝えられる訳がない。

綾香はそーゆー事が面倒なタイプで、そんな事を言おうものなら別れられる可能性が大なのを知ってる。

だからこそ直接会いに来たんだろう。

俺なんかよりも幸せな立場にいるこいつに嫉妬した事もある。

手の届く位置に彼女はいるのに、手に入れる事が出来ないもどかしさ。

一緒にいても抱く事も出来ず、触れる事も出来ず、ただ友達の距離を保つ。

−悟られないように−

「あんたはドーンと構えてればいいんだよ。確かにヤキモキするかもしれないけど、浮気は絶対しないし、二心抱く女でもない。」

−苛々する−

「それに俺は男として見られてないんだから。」

自嘲気味に締めくくり、呼吸を整える。

気付けば遠巻きながらちらほら野次馬もいる。

そして男は歩き出す。

−鈍く輝くナイフを持って−

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