携帯小説!(PC版)

腐りかけ17

[245]  ソウル  2008-10-17投稿
かみこぼしキレナイ欠伸がついこぼれてしまっていた「お疲れみたいだねぇ…」田中のばあちゃんが心配そうに採血の手元を覗きこんだ
「ごめんね…ダラシナイよね…失礼しました」ばあちゃんの腕は皮下出血のあとでマムラサキにあちらこちらなっていてなかなか針が刺しにくいってナース泣かせなんだけども、なぜかアタシは相性が悪くない
…これ以上はないという指先に針が入り赤黒い静脈血が試験管に採取された
「…はい…終わりです!」田中のばあちゃんはティッシュに包んだお菓子をアタシの白衣のポケットに押し込んで「甘いから疲れてる時にはいいよ。無理はしなさんな…それからこないだの話の続きなんだけどね」 ドキリ、と気持ちがざわついた
「…此処を退院したら自宅には戻らないで…施設入所をしたいから…またいろいろ頼むね」
「…でもそれでいいの?ばあちゃん、家に帰りたいやろ?
「それでいいの。それが一番いいんだよ」ばあちゃんは吹っ切れたような笑顔をみせていた。

……………………
「鶏肉と玉ねぎ…ルーは?」「ルーはあるよ…果物とトマトを多く買っていこう」
…あれから…お見合いパーティーから2ヶ月がたち…カウンターで独り語りをしていた徳永 繁とアタシは連絡をしあっていた。今日は彼と彼の息子の住む自宅に初めてお邪魔をするので、やはり緊張感はある。
山ほどの食材を車に詰め込んでさぁ発車しよう、としたその時、それは語られた。
「カッコさんにどうしても言いかけてはやめてしまっていたことがあるんだ」 「あんなにメールでやり取りしてまだ秘密があるんだ?」

しばらく沈黙が続いて、
「息子には知的障害があるんだ」やや大きめな歯切れよい口調だった
「平日は施設で暮らしていて…今日のような週末に帰ってくるんだ…君には今頃にこんな話、すまないと思う。重たい話ばかりだ私は」
アタシは想像した…亡き奥さんは毎日まいにちを障害をもつ息子を支え、家事をし妻として母親として懸命だったことを。女としての自分は後回しだったに違いない…それだから娘が亡くなったのは自分のせいだ…と責められ、その苦しみは如何なものだったか…後に残す障害の息子をホントは一緒につれていきたかったんじやあなかろうか…
「アタシは別に構わない。息子さんが拒否したらすぐ帰るわ」

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