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Powder Snow(2)

[310]  一宮 詩音  2008-10-20投稿
訊かれた男は、
「どうもこうもねぇよ。ここの奴ら、『良い物件がある』とか言って契約させやがって。実は、他の業者が扱っている物件で、金だけ持ってドロンパしやがった」
と息巻いている。
『ああ、やっぱり、そうだったのかぁ』
という思いがモネの中に染み込んで行く。
にしても、
『じゃ、ここには誰もいないんじゃない。それなのにここで叫んでいてもしょうがないじゃない』
と、自分も被害者でありながら、他人ごとのような思いが頭をよぎる。
そうだ。こんなところでボンヤリこんなことを考えている場合じゃない。とにかく警察だわ。ううん。まず、寮にもどろう。訳を話して次に住むところが決まるまで寮に置いて貰おう。警察はそれからだと、モネは静かにその場を離れた。
 掃除のために寮を出たのは昼過ぎだったのに、すでに6時半を回っていて7時に近い時間なので、11月の末ともなれば、辺りは真っ暗である。
 事の成り行きを話すにしても、いきなりじゃ、寮長の中西陽子、と言っても看護寮は学校の寮ではないので、中西陽子は言わば、皆のまとめ役のような存在だ。看護師になった年代も違えば、働き始めた時期も違うので、皆、年齢はバラバラだ。その辺が学校と違うところだし、かなりオープンでもあるが、そこは女の集まるところ。それなりににいろいろある。
 今回、モネがいきなり寮を出ることにも、いろいろ言われたが、これでまた、事の顛末を話したら、皆、ビックリしていろいろ言うに違いないとため息をつきつつ、携帯で寮長、いや、まとめ役の中西陽子に歩きながら電話をかける。急患か入院患者に急変でもない限り、今日は日勤のはずだから、病院は出ているはずで、携帯ももうoffからonにしているはずである。二、三回、呼び出し音が流れたあと、陽子が電話を出た。
 モネは大急ぎで、事の次第を説明する。そして、次が決まるまで、しばらく寮に置いてほしいと言うモネに、
「ええっ、それは困るわよ。もう、次に入る人きまっちゃってるし、あなたが午前中の間に出るって言うから、次の人、明日の午後には来るわよぉ。とにかく電話じゃ何だし、どうするか話しましょ。早く帰ってらっしゃいよ」
と陽子が言う。
 そりゃそうよね。寮を出るって言って、荷物もまてめて、
「後は出るばっかりです」
なんて言っておきながら、しばらく置いてほしいと言われても、そりゃ、困るわよね。

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