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お別れの詩?

[588]  2005-11-11投稿
しばらくすると、来場者へのあいさつなどで忙しく動き回っていた母がやってきて、もうすぐ始まるから静かにね、と言ってきた。
確かに大方席も埋まっているようだ。私は後ろを振り返りどんな人たちが来ているのか見回した。
すると、新たに会場へと入る女性がいた。連れはいなく一人らしい。喪服を上品に着こなし、年は40代であろうか。静かに後ろの隅の方の席へとついた。
私が前を向くと前方向かって右側の壇上に立っていた男性が静かに口を開いた。「本日は、お忙しい中、故寺田郁蔵の御葬儀にお集まり頂きまして誠にありがとうございます。ただ今より故寺田郁蔵の御葬儀を開式させていただきます」ここのスタッフらしい男性のよどみない台詞を聞きながら、葬式にも司会者がいることに驚いていた。すると後ろの方からお坊さんが三人お経を唱えながら入ってきた。一番前にいるお坊さんはやたらと神々しい衣裳を着ている。前にある壇上へと上がり、手に持っていた白いはたきのような―あれはなんていうのか―をふっていた。
「あの衣裳すげぇな。やたら動きがぎこちないけど」確かに和馬の言うとおり、時折動きにくそうにしている。儀式とはいえ…こういうのはどうしてユーモラスに感じるんだろう。

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