ハーフムーン ?
薄暗い店内の奥に、その男はいた。BGMには、古いジャズのスタンダードナンバーが流れている。
「ようこそ。こちらへどうぞ。」
男は目の前のカウンターにミユキを招いた。
ミユキは、その男の前に座った。
「ずっと何時間も立っていたそうじゃないか。ウチのアルバイトから聞いたよ。さぁ、これでも飲んで温まりなさい。」
そう言って男は一杯のホットウイスキーを差し出した。
「もう一度お聞きしますが、ショウは本当にココには居ないんですか?」
ミユキが切り出した。
「ああ…いないよ」
男は、かけ終わった店内のレコードを、別のレコードに取り替えながら、そう答えた。そして曲はジャズから、ビートルズの『ノルウェイの森』へと変わった。
「ショウは誰かと一緒なの?」
ミユキが尋ねる。
「……」
男は答えなかった。
「そっか…誰かと一緒かも知れないんだ…あの…マスターは…ショウの居場所を知ってるんでしょ…ショウは…どこにいる…の?」
ミユキの言葉が次第に重くなっていった。そして目は少しトロンとした表情になり、口は陶酔したような半開きとなっていた。
男はしばらく黙っていたが、やがて口を開き、こう答えた。
「レコードの中さ」
「ようこそ。こちらへどうぞ。」
男は目の前のカウンターにミユキを招いた。
ミユキは、その男の前に座った。
「ずっと何時間も立っていたそうじゃないか。ウチのアルバイトから聞いたよ。さぁ、これでも飲んで温まりなさい。」
そう言って男は一杯のホットウイスキーを差し出した。
「もう一度お聞きしますが、ショウは本当にココには居ないんですか?」
ミユキが切り出した。
「ああ…いないよ」
男は、かけ終わった店内のレコードを、別のレコードに取り替えながら、そう答えた。そして曲はジャズから、ビートルズの『ノルウェイの森』へと変わった。
「ショウは誰かと一緒なの?」
ミユキが尋ねる。
「……」
男は答えなかった。
「そっか…誰かと一緒かも知れないんだ…あの…マスターは…ショウの居場所を知ってるんでしょ…ショウは…どこにいる…の?」
ミユキの言葉が次第に重くなっていった。そして目は少しトロンとした表情になり、口は陶酔したような半開きとなっていた。
男はしばらく黙っていたが、やがて口を開き、こう答えた。
「レコードの中さ」
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