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ギャグ・クエスト 1

[580]  雛祭パペ彦  2006-06-14投稿
「え、1200万Gですか? 僕たちには無理ですよー」
 勇者が、慌てふためく。
「もちろん一括払いではありません。当社の自動車ローンを利用すれば40000回払い、すなわち毎月300Gのラクラク返済が可能です」
 そう言って、販売員は「ローン申込書」と印刷されている書類を差し出した。
「毎月300G…スライムに換算して100匹分ってところね。楽勝よ」
 魔法使いの少女が、瞬時に計算してみせる。
「今なら、特別ミラクル得々キャンペーンにつき、たったの年利1%で利用できますので、とってもお得ですよ」
 そんな販売員の言葉に、勇者たちもまんざらでない様子だった。
「確かに、ラスボスがいるところまで、わざわざ歩いて行くっていうのも疲れるよなあ」
 戦士が、遠慮がちに言った。どうやら、なんとなく日頃から不満に思っていたような口ぶりだった。
「おっしゃる通り。車社会だというのに歩いて冒険なんて、もう時代遅れでしょう」
 しめたとばかりに、販売員のセールストークが勢いを増す。
「それに、この装甲式キャンピングカーなら、大抵のモンスターを一瞬にして倒すことができ、いちいち車を降りて戦闘する必要がありません」
「おお、なるほど」
 あまり殺生を好まない僧侶が、興味を持ち始める。悪のモンスターといえども、神に使える身として直接手を下すのは忍びないと思っていたのだろう。確かに、車で轢き殺すのであれば、自分が殺さない分、罪悪感も少なくて済む。
「しかも、キャンピングカーですので、100V電源および冷暖房付きなのはもちろんのこと、キッチン、トイレ、シャワー付きの浴室、それにサウナ完備というふうに、冒険を生業としているお客さま方にとっては、うってつけの商品でございます」
「うーん。ちょっと高いけど、ひと月の返済額が300Gでいいのなら…みんな、どうする?」
 かなり乗り気な様子で、勇者が他の3人に意見を求めた。
「おれは賛成」
「わたくしも」
「いいと思うよ。あたし、サウナ三昧の日々に憧れてたの」
 こうして、勇者を含めた4人は、それこそウキウキと目を輝かせながら、販売員が差し出した「ローン申込書」に、それぞれの印鑑を押したのだった。
 このローン契約が、ラスボスを倒したあとも自分たちを苦しめることになろうとは……勇者たちは知るよしもない。

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