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奈央と出会えたから。<258>

[506]  麻呂  2008-10-29投稿
* * * * * *

『――で、2年生は中だるみの学年と言われているが、

受験戦争は、もう既に始まっている。

3年生になってから焦っても遅いのだと言う事を、心しておくように。』



新学年になって早々、



渋川の長い話を延々と聞かされていた――



はぁ‥‥長いなぁ‥‥‥。



早く終わらないかな‥‥‥。



聖人の席は、



前から3番目のあたしの席から、3つ左の窓側。



ちらっ――



ドキッッ☆



聖人、こっち見た!!



そして――



バチンッッ☆



ウィンクされた♪



ドキドキドキドキ――



『ほら、そこ!!木下!!何をコソコソしている?!』



やば‥‥。



渋川に見つかっちゃった。



『す、すみません。』



クスクスクス――



“木下さん、北岡君の方ばっか見てるからよ。”



“アツイわよねぇ。”



ヒソヒソヒソ――\r



“でもよぉ‥‥この2人と同じクラスになったってコトは、これから先が思いやられんな。”



“しっ!!渋川こっち見てるわよ!!”


新しいクラスメイト達の心無い一言が、


あたしの胸にチクチクと突き刺さる――


気にしない気にしない‥‥‥。



こんなのもう、慣れてる筈‥‥‥。



ちらっ――



思わず聖人の方を見たあたし。



あ‥‥聖人、またこっち見てる。



“キ・ニ・ス・ン・ナ!!”



あはっ♪



口の動きが、そう言ってた。



渋川の長い話が終わると同時に、タイミングよくチャイムが鳴った。



キンコンカンコーン〜〜♪♪♪



『では、今日はこれまで――』



はぁ‥‥やっと終わったぁ〜〜っっ!!


『奈央。早く帰ろうぜ。』



『うん。あ‥‥聖人。ちょっと待っててもらえるかな‥‥。』



――少しだけの勇気を――



神様――



今のあたしに分けてください。



ユカの座る席に足が自然に向かって行く自分に、



後悔だけはしたくないから――

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