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ハーフムーン ?

[1070]  2008-10-29投稿
ミユキは気を落ち着かせるために、券売機の横にある水を汲みに行った。

そしてカウンター席に戻り、ゆっくりと水を飲み、大きく深呼吸した。

その間、男は真剣な眼差しでラーメンを作り続けている。

やがて麺が釜からすくい上げられ、男はその麺を、チャッチャッチャッと、激しく上下にスイングした。

そして、先程からずっと煮込んでいたスープをすくい、麺と一緒に器の中に入れた。

「へぃ、お待ち」
男がそっと、器をミユキの元に運び込む。

ミユキはようやく落ち着いた表情を取り戻し、割り箸を割って、ラーメンを口にした。

「美味しぃ…」

そのラーメンは、ミユキにとって、とても温かく、美味しいものだった。

ミユキは休みなく無言で食べ続け、スープまで飲み干し、完食した。

「フゥー美味しかったぁ」
ミユキは手を合わせながら、初めて笑顔を見せた。

「そうッスか!ありがとうございます!!」
男もそれ以上の笑顔を返した。

「でも、何でこんな場所でラーメン屋さん開いてるんですか?」
ミユキは聞いた。

「へぃ。男は味で勝負すべきものと思っとりやす。ですから、あえて良くない立地条件で営業しとりやす」
男は自信に満ちた表情で答えた。

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