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ロストクロニクル3―8

[446]  五十嵐時  2008-10-29投稿
「ミュークさん、最後に聞いても良いですか?」
「なんだい?」
「呪いを治すにはどうしたら良いんですか?」
タクトは静かに聞いた。見てはいないが、パールがこっちを見ていることにも気付いている。
「呪い?その女の子のこと?」
タクトとパールは何故気付いたのか分からず驚いたが、ウェドは全く訳が分からないといった表情を見せている。ウェドに教えるのを忘れていたのだ。
「驚いた?無理も無いわね。自分で言うのもなんだが、私はただの魔導師ではないのだ。校長をやってるくらいからね」
ミュークは誇らしげな顔だった。
「それじゃあ、話しは早い。治し方を教えてくださいませんか?」
「う〜ん、それじゃ、コーディアに聞いてみれば良いわよ」
「コーディア?」
「ああ、この学校の先生だ。呪いに詳しくてな。そうだ、君たちが下で会った小太りで眼鏡を掛けた女の先生よ」
「えっ、あっ、あの、よく分から・・・じゃなくて、個性的な人ですか?」
パールが思わず聞き返した。
確かにあんなによく分からない先生なら呪いに詳しそうだな。
「今、その変な・・・じゃなくて、とても個性的な先生は何処に居ますか?」
今度はタクトが聞いた。
「そんなに焦らなくてもいいじゃろう。もう今日は夜も遅い。この部屋に泊まっていきなさい。布団は無いけどな。呪いの話しはまた明日だ」
「良いのか!」
ウェドが嬉しくて堪らなそうだ。
「もちろん。その代わり子供たちが登校してくるまでの間だけどね」
「やったな。二人共!」
ウェドが手を肩の後ろに回してきた。パールにも同じことをしている。 パールも「良かったわね」と言いつつウェドと一緒に喜びを分かち合っていた。
「タクト君、ちょっと来てくれるか?」
ミュークはタクトだけを呼んだ。
「いいか、絶対に本人には言っちゃ駄目だよ。呪いと言うのは心の持ちようだからね」
「どういうことですか」
慎重に聞く。
「あの呪いは放っておいたら、死んでしまう呪いだ。恐らく彼女はそのことを知っているわ」
それだけでも驚いた。
「そして、見た目では分からないが、あの様子だと一刻の猶予も許さないといった状況さ」
「そんな・・・あんなに元気なのに」
パールの方を見ると、ウェドと仲良く話していた。
「とにかく絶対に言うなよ」
ミュークは部屋から出て行ってしまった。

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